5月に入り新緑も緑になり、散り始めているライラックやマロニエなどが見られます。
朝方の冷え込みはありませんが、雲の動きが不安定なようで場所によっては雨が一時的に多く降る傾向です。
多くのレストランはこの時期の旬のものとしてアスパラガスをアピールしているのをよく見かけます。
この時期と言えばアスパラガスを忘れてはいけません。
去年はもう終わりの時期にアスパラを食べたので、今年は早めに食べました。
アスパラガスはドイツ語では
"SPARGEL"(シュパルゲル)で、オーストリアではマルヒフェルト産が最もポピュラーで有名です。
マルヒフェルト(Marchfeld)は
ウィーンの東側からスロヴァキア方面にかけて広がる地域で、
広さ約900km²もあります。
ここはNiederösterreichに入り、オーストリアでは一番大きな平原(野原)のひとつで、
歴史的にボヘミア王のオットカル2世がハプスブルグ家のルドルフ1世に戦争で負けた所としても知られています。
この地域には全部で約360haの広さでアスパラガスの畑が広がっていて、現時点では17の農家が活動し、1haにつき3000kg~4000kgのアスパラガスが収穫されています。
オーストリア全体のアスパラの約55%はマルヒフェルト産です。
私が今年最初に食べた上の写真に見られるこのももちろんマルヒフェルト産の白のアスパラで、定番のHollandaise Sauce・・・オランデーズソースがかかっています。
マルヒフェルト産のアスパラはスーパーや市場でもたくさん売られていて、郊外の道端によくある農家の出店などでもよく売られています。
マルヒフェルト産のアスパラはとても太くて大きいです。
そのまま煮込んでしまうと、苦くてたべられませんので
ある程皮をむいて茹でます。
この時期には"Marchfeld"のアスパラというように特別にマルヒフェルトを表記して提供しているレストランがたくさんあり、アスパラのクリームスープやアスパラのちょっとした前菜もよく提供されています。アスパラのシーズンは4月終わりから8週間で、6月半ばまでです。
アスパラはかなり古くからあり、紀元前400年ぐらいまでは薬草として利用されていたそうです。でも白ではなく緑のアスパラでした。
紀元前200年ぐらいにはローマ人にとってもかなり重要だったようです。
16世紀までは修道院とか薬局の庭などにやはり薬草として栽培されていました。
17世紀からヨーロッパでは貴族の宮殿の庭などに栽培されて、お客さんに提供されていたらしいです。
18世紀終わりまでは緑のアスパラが主流でしたが、19世紀になると色々な方法が導入されて白のアスパラが作られるようになりました。
このマルヒフェルトでは19世紀終わり頃から本格的にアスパラ栽培が始まりました。
この時期にウィーンに来た方は絶対に食べて頂きたいです。