ウィーンのシュテファン大聖堂は1147年から現在に至るまでの約870年間、このウィーンの中心部でずっと歴史を見つめ続けて来ました。
シュテファン大聖堂自身も時代と共に自らも改築や修復を重ねていますし、今もなお修復されています。
それだけ歴史ある重要なシュテファン大聖堂は見所も豊富で、歴史的に重要な物がたくさんあります。そのためシュテファン大聖堂だけでもしっかり見たら、大変時間がかかります。
このコーナーでもシュテファン大聖堂はよく話題にしますし、すでに色々な言われある物を
紹介しています。
シュテファン大聖堂の有名な説教壇、当時のステンドグラス、記念プレート、
涙を流す聖母マリア、プンメリン、ローマ時代の墓石、モーツァルト最後のお別れの場所、
祝福と幸運を授かるコロマニ石なども是非御覧下さい。
今日はそのシュテファン大聖堂にあるオーストリア3大ゴシック祭壇のひとつに数えられる
ヴィーナーノイシュタットの祭壇(Wiener Neustädter Alter)について少しまとめてみたいと思います。
参考までにSt.Wolfgangの傑作祭壇も御覧下さい。
ヴィーナーノイシュタットの祭壇は
シュテファン大聖堂に入って、一番左の
側廊(通称女性の廊)の一番奥に見られ
ます。
この祭壇はプレデラ(祭壇下の横に細長い飾り台)に記されている年代から分かる通り1447年にヴィーナーノイシュタットのベルンハルトシトー修道会の
ために作られました。
この祭壇はハプスブルグ家の皇帝フリードリヒ3世が寄進したということになっています。プレデラにはA.E.I.O.U.の有名なフリードリヒ3世のモノグラムを見ることが
できます。オーストリアで現存している二重扉の両開き祭壇では最も古い祭壇のひとつで
あり、このタイプはFlügelalter (フリューゲルアルタール)とドイツ語でよく言われます。
ヴィーナーノイシュタットはウィーンから車で60km程南に行った人口43.000の街で、
フリードリヒ3世の宮廷が置かれていました。
専門家の間でこの祭壇は、ヴィーナーノイシュタットの地元の工房で当時製作されたとされています。
祭壇には左右それぞれ2枚の計4枚、プレデラにも左右1枚、計2枚の扉があります。
このタイプの祭壇には必ず扉を閉めた状態でも見られるように、扉の外側にもそれぞれ
絵が施されています。
上の写真は一番外側の扉を開けた状態で、外側の扉の内側と、閉まっている内側の扉の外側の計16場面が見られます。
ペテロ、パウロ、アンドレアス、洗礼者ヨネ、福音書記者ヨハネ、フローリアン、セバスチァン、ルペルト等たくさんの聖人達の絵を見ることができます。一箇所に3人の聖人達が並んでいます。
全ての扉の外側と内側に描かれている聖人の数は72人です。
昔は日曜日に開けられ、平日は閉じられ、重要な教会祭日の時には全て開けられました。
現在のご時世では、閉じられている祭壇の状態を見るのが珍しいですね。
今は四旬節ですから閉じられています。
こちらが全開しているヴィーナーノイシュタット祭壇です。
シトー修道会は厳しい会則があって、全体を彫像で表現できるのは聖母マリアとイエスだけです。
ウィーンの森にはハイリゲンクロイツ修道院という有名なシトー修道会があります。
そのためここでのテーマは聖母マリアとキリストで、素晴らしい木彫りの群像を見ることができます。
祭壇中央一番上が聖母マリアの戴冠で、神とイエスがその横に見られます。
中央下が幼子イエスを抱いたマリア、左に塔を持ったバルバラと右に剣を持ったカタリーナが見られます。
左上はマリアの戴冠、左下はイエス誕生、右上はマリアの死、右下は三博士の崇拝を見ることができます。
プレデラの左扉は、受胎告知、エリザベスの訪問、右扉はキリスト誕生、三博士の崇拝を
見ることができます。
プレデラのゴシック様式の透かし細工も素敵です。
シュテファン大聖堂に入ったらこの祭壇は是非じっくり見るべきでしょう!