最近また宝物館を御案内することが多くなりました。
ここはハプスブルグ家が代々にわたって集めた世俗の財宝や教会の財宝、神聖ローマ帝国
時代の貴重な物やブルゴーニュ公国のものなども多くあり、ヨーロッパでも類を見ない
素晴らしい博物館となっています。
このコーナーでもオーストリア帝国帝冠や神聖ローマ帝国の帝冠、2680カラットのエメラルド、無敵の力を持つ聖槍などをすでに紹介しています。
今日はその宝物館から黄金の素晴らしい工芸品を少し紹介します。
それは黄金の水差しと水盤です。
これは1571年,スペインの工芸家が製作したもので、金10.5kg、
水差しの高さが34.5cm,水盤の
直径が61.5cmもあり、部分的な七宝細工が施されています。
このセットは、ハプスブルグ家の
シュタイヤーマルクのカール2世大公(1540~1590)がバイエルンのマリアと結婚した時にケルンテン領から贈られたものです。
元々は宗教的な意味合いはなかったそうですが、17世紀以降洗礼に使われるようになったということです。
水差しにはケルンテンの紋章が見られ、
また、水差しを取ると、その水差しが載せられている水盤の底にもケルンテンの紋章
が施されています。
これはガラスケースの中に収められていて、薄暗い館内でもひときわ目立っています。
このような工芸品を製作した当時の人々はすごいですね。