オーストリアでウィーンの次に行きたい街と言えば一般的にザルツブルクでしょうか。
モーツァルトが生まれた街、ヨーロッパでも早くからの宗教的中心地としてを歴代の大司教達が統治してきた北のローマとも形容される美しい街です。
それ以外でも日本でもお馴染みな映画「サウンド・オブ・ミュージック」の舞台ともなりましたので、映画を知っている方にとっても魅力的な街です。
ザルツブルクを観光する時にはモーツァルトの生家がある旧市街を中心に徒歩で、そしてザルツァッハ川を渡った新市街地側にあるミラベル庭園も絶対訪れます。
その美しいミラベル庭園にはミラベル宮殿がありますが、そこには通常の観光ではまず行かない、しかしとても有名なEngelsstiege (エンゲルスシュティーゲ)・・・"天使の階段"があることで知られています。
現在はザルツブルクのお役所になっているミラベル宮殿は庭園と共にザルツブルクの重要な観光ポイントで、サウンド・オブ・ミュージックでも登場します。
このほぼ正方形のミラベル宮殿の西宮の北の一角の細長く狭い空間にこの素晴らしい天使の階段があります。
この階段はDonnerstiege
(ドンナーシュティーゲ)とも呼ばれ、ウィーン生まれのバロック時代の有名な彫刻家であるGeorg Raphael Donner
(ゲオルグ・ラファエル・ドンナー 1693~1741)
が手掛けたことから来ています。
ウィーンではいくつか彼が手掛けたものを見ることができますが、
旧市庁舎にあるアンドロメダ噴水もそのひとつです。
この階段は日本式に言えば3階の高さまでありますが、宮殿なのでフロアの天井が高いですから実際には結構上がります。
この宮殿は1818年に火災に遭遇し、その後新古典主義様式に改築されましたので、当時のバロック様式がかなりなくなってしまいました。そのためこの天使の階段があるホールはこの天使の階段と比べると盛期バロックという雰囲気ではありません。
それでもバロックの装飾を見ることができ、壁には神話からの像が置かれています。
この階段にはたくさんの天使を見ることができます。
天使は子供で、座っていたり、横になっていたりまた遊んでいたりしています。
これはラファエル・ドンナーがオーストリアバロックの全盛期である1726年に制作したもので、天使が乗っている部分の装飾も見事なバロック曲線です。
天使の表情もそれぞれ違っていて、生き生きしています。
ここを上っていくと本当に天国へ行くような気持にさせてくれる贅沢な空間です。
ラファエル・ドンナーは大工の息子で、金細工を学びましたが14歳からイタリアの彫刻家
ジョバンニ・ジュリアーニの下で彫刻を学び、大きな影響を受けました。
ザルツブルクは宗教的な街・・・ローマ教皇といい意味でのライバル的意識を持った大司教はこの街を北のローマと呼ぶに相応しい街並みに改造しました。
天使の階段はそのひとつに当てはまるでしょうか。
是非ザルツブルクに行ったらここもお見逃しなく!