オーストリアで最も訪れる人が多い場所はシェーンブルン宮殿です。
ヨーロッパで重要なバロック建築であり、また世界遺産にも登録されています。
日本からのパッケージツアーでは必ずと言って言い程シェーンブルン宮殿を訪れます。
私も仕事柄1日2回シェーンブルン宮殿を御案内することも多く、稀に夕方の貸し切り案内も含めると3回御案内することもあります。
そんなシェーンブルン宮殿には毎年恒例の避難訓練があります。
避難訓練と言っても一般の観光客が対象ではなく、オーストリア国家公認ガイドとシェーンブルン宮殿で働く人達のための避難訓練です。
シェーンブルン宮殿は多い時には一日1万人を超える入場者があります。
(あくまでも宮殿入場だけで、庭園部分を入れれば倍以上の数になります)
一般公開されいてる40室は個性あり、大きい部屋もあれば小さい部屋もあり、宮殿内の順路が決まっています。
万が一に備えて国から定められている避難訓練が毎年1月に必ず行われます。
オーストリア国家公認ガイドはウィーンに現時点では約900人いて、全員オーストリアが定めた国家試験をクリアーしてそれぞれのペースで仕事をしています。
そのため、この避難訓練では普段仕事中に街中で会う同僚達のある意味では集まりでもあるわけです。
皆、オーストリア政府の規定による大変な準備コースを経て、国家試験をクリアーした同僚達ですからひとつの絆のようなものがあるわけです。
"ドイツ語"が全員の共通語であり、それ以外にそれぞれのガイドが様々な言語でオーストリアに来られる皆様に案内するわけです。
私の場合はもちろん日本語です(笑)
国家ガイドの大部分は地元オーストリア人が圧倒的に多いわけですが、それ以外にも様々な国からの同僚もいます。
避難訓練は宮殿の大広間から始まり、そこで最初に挨拶やそれまでの訪問者の統計の紹介や
予約のことなどの説明があり、その後ガイドが40室の色々な部屋に行かされて待機し、
火災の案内がアラームと同時に宮殿内に流れるとすぐに外に出ます。
宮殿のどの部屋にいるかによって外へのルートが違います。
実際にガイドが宮殿内でお客様を案内している時に火災が起きたことを想定しています。
上の2枚の写真は避難訓練で宮殿の中から出てきた状況です。
全員同僚です。
シェーンブルン宮殿にはシェーンブルン宮殿が独自に発行している身分証明書があります。
シェーンブルン宮殿内を案内する時には必ず掲げなければいけないもので、写真が入っていて独自のID番号が記されています。
このシェーンブルン宮殿の身分証明書(Ausweis)は国家公認ガイドが所有している身分証明書とも違います。
オーストリア国家ガイドは仕事中に掲げるガイドロゴの他に、普段から仕事中に携帯しなければいけない正規国家公認ガイドの身分証明書(いわゆるライセンス)、そして必ずこのシェーンブルン宮殿の身分証明書の3つを持っています。
シェーンブルン宮殿の避難訓練ではこのシェーンブルン宮殿の身分証明書も更新され、必ず参加したかどうかのチェックが行われます。
この避難訓練は毎年の会合みたいなものです。
実際、避難訓練が終わった後はシェーンブルン宮殿から飲み物と軽食のサービスがあり、
同僚同士が語り合います。