今日2月9日が今年度の謝肉祭の頂点である火曜日です。
"謝肉祭"という言葉は日本でも知られていますが実際はどういうものなのでしょうか。
謝肉祭はドイツ語ではFasching (ファッシング)と呼ばれキリスト教の重要な習慣です。
Fasching(謝肉祭)はFastenzeit(ファステンツァイト)・・・日本語で四旬節の前です。
四旬節は灰の水曜日(Aschermittwoch)からイエス・キリストが磔になりその後復活する前日までの時期で、伝統的には食事の節制、祝宴などの自制をし、祈り・断食・慈善が基本となります。
今年2016年は復活祭が3月27日とかなり早いんですね。
灰の水曜日はその復活祭から日曜日を除いて40日間遡った日ということになっています。
今年の場合は2月10日が灰の水曜日なので、その前日2月9日が"Faschingsdienstag"という謝肉祭の火曜日で謝肉祭のクライマックス・・・つまり今日です。
40日間というのはイエスが荒野で断食をした長さで、紀元600年頃にどうやらローマ教皇グレゴリウス1世が復活祭前の断食時間を定めたようです。
そのため謝肉祭は厳粛な時がやってくるのでそれに伴って断食を・・・
その前にバカ騒ぎをしようじゃないか・・・という意味があるわけです。
多くのレストランなどではちょっとした飾り付けをしますし、特に謝肉祭の最終火曜日は
仮装して仕事をする人も多く、謝肉祭シーズンには幼稚園や小学校でもちょっとしたパーティーがあり、子供達が仮装して学校や幼稚園に行きます。
上の写真はウィーンのある大きなおもちゃ屋さんの一角ですが、全てFasching関係の物が売られています。
子供達がこの時期に仮装するので、様々な分野の衣装やそれに伴ったたくさんの小物が売られています。
忙しいこの御時世ですから、仮装の衣装は買って済ますという人が圧倒的に多いです。
こちらの幼稚園や小学校ではこの謝肉祭時期には特定の日を設けて仮装して子供達が登校します。
学校側から"この日は仮装して登校して下さい"という事前の案内があって、子供達はぞれぞれお気に入りに仮装して学校に行きます。
こちらではこの時期の当たり前の習慣で、子供だけでなく、大人までも仮装して仕事に行く人も少なくありません。
謝肉祭のクライマックスである火曜日に仮装する大人も多いですが、幼稚園や学校などではもう少し早く行われます。
謝肉祭はカーニバルと日本でも言われることもありますが、中世ラテン語のcarnem levare (ドイツ語ではFleisch wegnehmen・・・直訳で肉を取り上げる)、またはcarne vare(肉よさらば)から来ているという説が一般的でしょうか。
他の説としては、冬を追い払って春の到来を祝う古代ゲルマン民族の習慣に由来し、その農耕祭で船を仮装した山車carrus navalis(車・船の意)を由来とする説などもあるようです。
それではこの謝肉祭はいつから始まるかというと・・・ドイツ語圏ではたいてい1月6日の聖三王の祝日(Heilige Drei Könige)からというのが一般的でしょうか。
グレゴリオ1世の時代の謝肉祭は、四旬節が現在より6日遅かったようです。
11世紀終わりに四旬節の初日が灰の水曜日に定められ、12世紀には現在の長さになっていたようです。
また場所によっては11月11日11時11分から謝肉祭が始まる所もあるようですが、これは19世紀以降に登場した習慣です。