国家ガイドとして年間を通して仕事をしていると、様々なツアーのアテンドをします。
単純に市内観光と言っても、シェーンブルン宮殿、ベルヴェデーレ宮殿、リンク道路という
オーソドックスな観光から、シュテファン大聖堂内部観光や美術史博物館、皇帝の部屋や宝物館などの王宮、皇帝の地下墓地、音楽家の跡や旧市街地徒歩観光などなど挙げると切りがなく、様々なヴァリエーションがありますから、毎日同じ内容で観光しているわけではないんですね。
ツアーによってはテーマが決まっているものもあります。
例えば午前はオーソドックスな市内観光、午後はオプショナルなどでハプスブルグ家の
ことをもっと深く見るツアーや音楽をテーマにしたものなどがあります。
数日前の午後はまさにハプスブルグ家がテーマとなるオプショナルツアーでした。
それ以外に音楽、美術、建築などの専門ツアーや視察や通訳などの仕事もあり、
ある意味ではあらゆる分野に対応しているわけです。
今までアテンドさせて頂いたツアーでちょっと特殊なツアーをいくつか思い出してみます。
<サイクリングツアー>
サイクリングと言っても、こちらで自転車を借りたのではなく、日本から一台数十万円もする本格的な自転車を持って来られて、プラハ~リンツ~ヴァッハウ渓谷~ウィーンまでを
走るというツアーでした。
私も自転車は結構乗っているので、楽しそうなツアーだなと事前に思っていたのですが、
残念ながら私はバスで基本的に並走し、ドナウ河のそれぞれの橋をチェックポイントにして、皆さんが体調に影響なく問題なく通過するかを見届けることが一番の課題で、それ以外は宿泊したホテルや食事でのケアーでした。
オーストリアのドナウ河沿いのサイクリングコースは世界的に有名で、ここを走るために来られた皆さんでした。
数十人いらっしゃいましたが、それぞれ走る速さがバラバラでかなりの差がありました。
ドナウ河の橋には実際にバスが入れない所がたくさんあるので、皆さんが到着するまでに私が橋にいなければいけなかったので、そちらの方が大変でした。
<巡礼ツアー>
日本からもキリスト教の皆さんのツアーって結構あるんですね。
何回かアテンドしたことがあります。
オーストリアにはヨーロッパでも知られた巡礼教会がたくさんあります。
このような皆様はキリスト教のベースがあるので、通常のお客様と違って、キリスト教史が重要となり、こちらでの宗教的な習慣などの話を多く取り入れています。
マリアツェルやきよしこの夜の礼拝堂などを訪れました。
ちなみに私は、キリスト教ではなく御坊さんの団体ツアーもアテンドしたことがあります。
20数名が全員日本では御坊さんで、この時は仏教的なお寺に行くということではなく、
ほぼ観光でしたが。
<スケッチツアー>
スケッチも結構あるツアーです。
それぞれのツアーによってやり方が違うと思いますが、リーダーの方がいくつかキーワードを言って、それになるべく近い雰囲気の場所にお連れするというもので、ウィーン市内とウィーンの森で行いました。
例えば、建物の間から教会の塔が見えているような所とか、石畳にアーチが見える所とか、自然の中にポツンと教会が建っているような風景とか、そのような場所をいくつか御案内し、皆様が気に入った場所でスケッチをするというものです。
<語学短期留学の準備>
ウィーン大学では夏にドイツ語コース開かれています。
これに参加する日本の学生さんも結構多く、その時はひと月弱ぐらいウィーンに滞在するわけです。
そのため、滞在についてのノウハウや賃貸住居の入居時のヘルプ、住居から周辺や大学までのアクセス方法、お役所への住民登録などのヘルプをしますので、あまり観光という内容にはなりません。
去年の夏もこのドイツ語コースに参加する数名の学生さんのアテンドをしました。
これはある旅行会社さんからの依頼でしたが、当然皆さんはそれなりの下調べをしてきているわけですが、そこに参加していたある学生さんは、私のこのホームページを日本でよく見ていたようで、ここウィーンでそのホームページを作っている私本人がアテンドしたのでちょっと感動されてしまいました。
私もとても嬉しかったです。
まだまだ通常観光とは違うツアーはたくさんありますが挙げれば切りがありません。
こんなことからもやっぱりウィーンという街が、そしてオーストリアがとても奥が深い国なんだな・・・と思います。