ウィーンの元旦と言えばウィーンフィルニューイヤーコンサートをすぐに思い浮かべる方も多いでしょう。
お客様から一生に一度は見てみたい・・と言われる方が年間を通して非常に多く、チケットの入手方法とか値段などをよく聞かれます。
私もだいぶ前にニューイヤーコンサートをLIVEで見たことがありますが、基本的に毎年ニューイヤーコンサートに行かれるお客様のアテンドや年末年始にウィーンに滞在されるお客様の観光案内などの仕事をするので、ニューイヤーがやっている時間はたいてい街中で仕事をしています。
そのため録画をして元旦の夜に夕食を食べながらニューイヤーコンサートを見てるという個人的な習慣があります。
今日は今年のニューイヤーコンサートを見た感想を少しここに記します。
あくまでも"テレビで見た"わけで生で見たわけではありません。
今年のニューイヤーコンサートはマリス・ヤンソンスさんの指揮でした。
個人的に好きな指揮者で、ウィーンフィルとの関係も良好でウィーンではよくウィーンフィルを指揮していますし、またこのニューイヤーコンサートも2006年、2012年とすでに過去2回も登場しています。
ニューイヤーコンサートは伝統的にヨハン・シュトラウスやその兄弟などのワルツ、ポルカが中心でそのようなスタイルの曲が好きでなければ内容的には結構単調でしょうか。
でもそれがこちらの新年の伝統でいいのかなと思います。
今年も完璧な内容で、毎年そうですがテレビで見ていても十分楽しめました。
演出的には前半にはヨハン・シュトラウスが所有していたオリジナルの指揮棒がマリス・ヤンソンスさんに配達されて、それを使って指揮をする場面も印象的でした。
休憩の時間にはウィーンフィルのメンバーが夏のザルツブルク音楽祭の時に彼らがザルツブルクに滞在した時に収録した演奏を背景にザルツブルクが登場しました。
1816年にザルツブルクは大司教領を離れてこのオーストリアに入ってきましたので、その辺の歴史的状況も紹介しながら、モーツァルトに扮した人が双眼鏡を片手に街中を歩き回り、ザルツブルクの名所がたくさん万華鏡のように流れました。
これはおもしろかったです。
今年2016年はその200年記念ということでテーマがザルツブルクになったわけです。
後半も美しい曲がたくさん流れ、ヨハン・シュトラウス2世の皇帝円舞曲の時にはシェーンブルン宮殿で10人の男女のダンサーが素敵なワルツを披露しました。
毎日のように行く宮殿の大広間や庭園で、ウィーンフィルの美しい流れるメロディーに合わせてワルツが踊られ、ローマの廃墟やシェーンブルン宮殿の名前の由来である美しい泉も
登場しました。
伝統的に最後は美しき青きドナウで、毎年この曲の時の演出が気になるのですが、一昨年まではダンサーがワルツをLIVEで踊っていたわけですが、去年はウィーンの風景が多く登場し、ワルツを踊るシーンはありませんでした。
今年もワルツが踊られず、ドナウ河の最も美しいヴァッハウ渓谷が登場し、空からの美しい映像がたくさん登場しました。
ウィーンフィルのニューイヤーコンサートをLIVEで見られることはとても恵まれたことだと思いますが、放送局側の素敵な演出はテレビでしか見られません。
一番理想的なのは、ニューイヤーコンサートをLIVEで見て、録画をしておいてその後、家でテレビを見るのがいいでしょう。(笑)
ウィーンフィルのニューイヤーコンサートが行われる場所は楽友協会の黄金の間です。
このホールは世界で最も音響がいいホールのひとつで、ウィーンフィルの本拠地となっていて、私も年間を通してよくこのホールの案内をしていますが、ニューイヤーコンサートの時は花が飾られ綺麗に装飾されますから普段とは全く違います。
ニューイヤーコンサートは3回あるということはあまり知られていないようですね。
12月30日、31日、1月1日の3日間で、3日間とも同じ顔触れで同じ内容で行われますが、
1月1日だけは世界に生中継で、また他の2日間から比べればチケットも高くなっています。
ウィーンフィルのニューイヤーコンサートの始まりはクレメンス・クラウスの指揮で、
1939年の大晦日でした。
つまりニューイヤーコンサートではなかったわけです。
しかし、次の年1940年大晦日と翌日1941年1月1日と2日続けてコンサートが行われ、
その時からニューイヤーコンサートが始まったというわけです。