フランツ・ヨーゼフ1世が一目惚れをしたというエリザベートは、ヨーロッパでも一番美しい女性のひとりとも言われ、世界中にファンがいます。
年間を通して仕事をしていると、エリザベートを好きな方が日本でも本当に多いんだなぁ~と実感しています。
シシィ博物館、エリザベートのお墓、国民庭園の像などについてはよく質問を受けます。
このコーナーでもエリザベートに関してはいくつか話題にしています。
エリザベート皇后の一番知られた肖像画は、王宮のシシィ博物館で見ることができますが、
この肖像画はシェーンブルン宮殿や王宮のショップの袋にも使用されています。
その肖像画の中でエリザベートが頭につけている星形の髪飾りも有名で、今日はそれについて少し書きたいと思います。
エリザベートの有名な髪飾りは、ウィーンでハプスブルグ家帝国時代からの老舗で、1814年創業の宝石商 "A.E.Köchert" のものです。
もともとEmanuel Pioteがフランス風の宝石を当時宮廷や貴族層のために製造していて、そこに弟子として1819年、Jakob Heinrich Köchertが入りました。
Jakob Heinrich Köchertは後に、師のPioteの妹と結婚します。
1831年に当時の宮廷宝石商であったM. Cohenが亡くなり、PioteとKöchert がその後を引き継ぐ形となり、宮廷御用達しの資格が与えられ、1918年の帝国崩壊まで宮廷御用達しとなりK.u.K.の称号を持つことになります。
当初はパラヴィチーニ宮殿内(王宮のヨーゼフ広場前)に店を構え、その後1848年にはPioteが仕事から引退し、Jakob Heinrich Köchertがひとりで運営しました。
その後息子のAlexander Köchert (1824–1879)が店を引き継ぎ、1873年に現在の場所であるNeuer Markt 15番地に移りました。
このAlexander Köchert がエリザベートの星形の髪飾りを意匠しました。
店のロゴに見られるA.EはAlexander Emanuel Köchert という意味です。
これは星形に見えますが、オーストリアの国の花であるエーデル・ワイスをモチーフにしたもので、フランツ・クサヴァ・ヴィンターハルタ―が1865年に描いた一番知られたエリザベートの肖像画では、彼女の歳の数と同じ27個をつけています。
ダイヤモンドが散りばめられていています。
この星形の髪飾りは4種類のタイプがあり、大きさとダイヤモンドの量が違っています。
それぞれ4つの価格とダイヤモンドの量を以下に示します。
Modell IV 3.400ユーロ、0.75カラット
Modell III 5.800ユーロ、1.40カラット
Modell I 12.500 ユーロ、2.60カラット
Modell II 14.800 ユーロ、3.10カラット
※値段はこの記事をアップした時点のもので変わっている可能性もあります
上の写真はModell IIの14.800ユーロで、一番大きいタイプのものです。
エリザベートはこのモデルのものを27個もつけていました!
エリザベート皇后はモーツァルトの魔笛のオペラを見た時に、夜の女王の星の飾りに熱狂したと伝えられ、フランツ・ヨーゼフ1世がAlexander Emanuel Köchertにかなりの数を
注文して、最初の結婚記念日にエリザベートに贈ったそうです。
この定番の星形髪飾りの他に、星形をベースにしたネックレス、イヤリング、ブローチなど多くのバリエーションがあります。
これらはシシィ・シリーズで、全て18K ホワイトゴールドが使用されています。
シェーンブルン宮殿や王宮ショップにはお土産用にエリザベートの髪飾りが多く売られていますが、一番大きいもので29.90ユーロです。
遠くから見ればわかりませんね(笑)