オーストリア国家公認ガイドとして年間を通して様々な分野のお客様と仕事をさせて頂いてます。
一般的なパッケージツアーや専門ツアー、このホームページから申し込まれる個人のお客様までとありとあらゆる分野のお客様で、日本全国津々浦々から、または海外に居住されている日本の方など様々です。
観光の内容も一般的なものから専門的なものまで様々なバリエーションがあります。
その中で個人的にちょっと印象に残るツアーのひとつにウィーンフィルメンバーによるプライベートコンサートが組み込まれた皆さんをアテンドしたこともあります。
この時のツアーは今田美奈子さん(洋菓子研究家)がオルガナイズされた30名様のツアーで、2015年4月後半の春のある日でした。
午前中は市内観光でシェーンブルン宮殿や王宮を見学し、午後にウィーンフィルのプライベートコンサートが企画されていました。
当初はどこかの小さなサロンでのコンサートかと思ってましたが実は違っていてメンバーの御自宅だったんですね。
プライベートの自宅に団体さんを招いてコンサートというのはちょっと想像できませんでしたが、昔の貴族の邸宅で行われていたサロンコンサート的なハウスコンサートでした。
ウィーン3区の、ある集合住宅の一角にあるメンバーの御自宅の一室です。
ウィーンフィルメンバーによる弦楽四重奏で、素晴らしい演奏を聞かせてくれました。
プロの音楽家の御自宅らしく、べーゼンドルファーのグランドピアノが置かれ、歴史的重要な音楽家の写真や絵などがたくさん飾られています。
ハイドンやモーツァルト、ベートーヴェンがこのウィーンの街で活躍していた古き良き時代を思わせる素敵なコンサートでした。
メンバーの奥様が皆様を歓迎するために自ら焼いたトルテやお茶を用意してくれて、
楽しいひと時を過ごすことができました。
私ももちろん聞かせて頂きましたし、楽団員と皆様の通訳もしました。
奥様とも話を多くしましたが、このようなハウスコンサートはよく開かれているそうです。
しかし、30名様の団体というのはあまり例がなかったということです。
ウィーンフィルのニューイヤーコンサートやザルツブルク音楽祭や復活祭音楽祭の仕事もよくやらせて頂きますが、ある時ザルツブルク音楽祭で前の日にベルリンフィルを聞き、
翌日はウィーンフィルを聞く機会に恵まれました。
明らかにウィーンフィルの弦の音色が素晴らしかったことを今でも覚えています。
私がウィーンの19区に15年近く住んでいた時に、私の大家さんも実は頻繁にハウスコンサートを開いていました。
大家さんは趣味で声楽をやっていたので、ハウスコンサートに集まる方たちも声楽に興味がある方が多く、シューベルトの歌曲やモーツァルトの歌曲が頻繁に演奏されていました。
その時にも大家さんが自分で作ったトルテやちょっとしたお菓子などを提供し、演奏と歓談が交互に繰り返されていました。
私も立場上毎回招待されておじゃますることが多かったです。
でもこのハウスコンサートはエンドレスでいつも夜中まで続くのが苦痛でした(笑)
ウィーンでは今でも当時と同じようにハウスコンサートを開く方が結構いらっしゃいます。