難民問題 その後

数日前に難民問題でもウィーンの生活や観光には全く影響はありませんという報告と、

ウィーン西駅の難民状況についてお知らせしました。

実際ウィーンの街は言葉通りいつもと変わらず至って平和で、これは全く変わっていませんのであまり難民問題をテーマにしたくはありません。

 

しかし・・・

私のこのホームページにもそのことについての質問が寄せられていること、私はオーストリア国家公認ガイドとして仕事をしていて、実際に平和なウィーンの街並を毎日御案内していて何の問題もないこと、そして日本からのお客様に何の心配もなくウィーンで観光を楽しんで頂きたいことから適度に近況をお知らせしたいと思っています。

 


9月13日(日)の17:00頃からドイツは国境審査を一時的に導入し、またハンガリーも同じ日に国境取締りを強化し、それによってセルビア経由のハンガリールートでEUに来ることが制限されたわけです。
15日からはたくさんの難民がセルビアとハンガリー国境のセルビア側に留まっています。


ドイツを目指しハンガリーに入国しようとしたセルビア側にいた難民達が絶望し、一昨日の16日には暴動となりました。

セルビアとハンガリー国境では黒い煙が上がり、人々が叫び、子供達が泣き出し、まるで

中東の市民戦争を思い出させるような状況となりました。

絶望した難民達がハンガリーに意地でも入国しようと国境の有刺鉄線を壊そうとした所、

ハンガリーは覆面をした機動部隊を送り、戦車を走らせ、放水と催涙ガスをまいたことは皆さんもすでに御存知ではないでしょうか?

これは国際的に批判が高まっています。

ハンガリー側は難民に対して強硬な姿勢を持ち、多くの難民達を逮捕させている状況です。


難民達のほとんどがバルカンルートからセルビアに入り、ドイツを目指しているわけです。

その彼らがハンガリーの国境閉鎖に大きな不満を持ち、絶望したシリア、アフガニスタン、イラクから来た男性難民達がハンガリーの警官達に投石などを行ったり、衣類を燃やしたりしたことに対しての結果です。

セルビアは冷静に対応し、国境にバスを送り難民達をそこから動かそうとしていますが、

目の前に"EU"の入口があるため、難民達はそこを去ることを拒んでいるようです。





さて、ハンガリー国境の難民達のドラマとは全く違い、ここオーストリアは静かで、混乱はありません。

難民達が別ルートでドイツを目指すことになるためにその対応として、オーストリアの南側のシュタイヤーマルク州やケルンテン州では国境を厳しく取り締まっています。

9月16日の19:00頃から、スロヴェニアとオーストリアのシュタイヤーマルク州の国境審査も行われています。

先日ハンガリーからオーストリアのNickelsdorfに入って来た難民の数を踏まえて、シュタイヤーマルク州では難民を一時的に助ける準備も整えています。



 

ハンガリーの国境が閉じられたことにより、難民達は新たにセルビア~クロアチア~スロヴェニア~オーストリア~ドイツルートを行き始めています。

16日(水)の朝にはすでに数百人の難民がセルビアとクロアチアの国境を渡りました。

彼らの行き先はドイツやスカンジナビアで、クロアチアは彼らが移動するのを助けるという方針です。

セルビアのバス会社はハンガリーの国境ではなく、クロアチアの国境へと難民達を送っていますが、クロアチアの難民を助ける方針はどうやら一時的な感じで難民の多さに考え方を変えざる負えない状況にすでになっています。

 

スロヴェニアはオーストリアに接していてEUにも入っていることから、クロアチアとは違って、難民達がオーストリアに入るための通路ではないと考えています。

EUの協定で安易に国境は開かない・・・ということのようで、実際に正規のドキュメントを持っていない難民達は半数ほどが送り返されているということです。


新ルートもその先は行き止まりという状況です。

 

 

 

 

 

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