ウィーンはバロックの都ともよく形容されるように、ヨーロッパでも重要なバロック建築が
多く見られるわけですが、バロック以外に様々な、全ての建築様式を見ることができます。
ロマネスク、ゴシック、ルネッサンス、バロック・・・このような言葉はヨーロッパでは
たいてい聞かれることで、時代の物差しであり、絵画、建築、音楽、キリスト教、工芸品、
生活習慣などに見られる重要な様式です。
この流れや特徴が少しでもわかるとヨーロッパの街はもっとおもしろく見えてきます。
その様々な様式の中で"ユーゲントシュティール"もが多く見られます。
ユーゲントシュティールは19世紀終わりから第一次世界大戦が終わるまでの非常に短い時間でしたが、集中的に多くの物が見られます。
このコーナーでも
マジョリカハウス、カールボロメウス教会、アム・シュタインホーフ教会、Hohe Brücke,
シュトゥルードゥルホーフシュティーゲ, アンカー時計、オットー・ヴァーグナーの駅舎、
などについて書きました。
今日はそのユーゲントシュティールのひとつで、ウィーン旧市街の一角にあるよく知られた
エンゲル薬局について少し書きたいと思います。
エンゲル薬局はウィーン旧市街の
アム・ホーフに近いBognergasseに
あります。
右の写真に見られるように幅の狭い
建物一階に薬局が入っていて、その壁の天使が印象的ですね。
"ENGEL APOTHKE"と書かれていて、オーストリア薬局のロゴが入口のすぐ上に見られます。
この薬局の名称は"Apothke zum weißen Engel"で、
白い天使の薬局なんて意味です。
この薬局はSebastian Götzが最初のオーナーで1587年にはHoher MarktのすぐそばにあるLichtenstegにあり、その後引っ越して、1618年にはAm Hof 界隈のFärbergasseに、その後、今のBognergasse2番地に来ましたが、1725年にまた引っ越してKohlmarktに移動しました。その後また引っ越してAm Hofに、そして1891年に今の場所のBognergasseに再び戻って来ました。でも2番地ではなく今度は13番地です。
1902年に薬局が入っていた当時の建物が取り壊されて、今日に見られる
ユーゲントシュティール様式で新しく建てられました。
この印象的な天使は大理石のモザイクで装飾されています。
近くで見ると細かい大理石がいっぱい並べられていることがわかります。
これはオスカー・ラスケ(1874~1951)によるものです。
オスカー・ラスケはオーストリアの建築家、画家で、彼の父も建築家でした。
ウィーンのアカデミーでオットー・ヴァーグナーのもとで学んでいます。
このエンゲル薬局は洗練されたユーゲントシュティール様式で、決してたくさんの装飾が
あるわけではありませんが、この建物に見事にマッチした美しさを見ることができます。
ウィーン中心を歩く時には是非お見逃しなく!