オーストリアには歴史ある修道院や教会やお城などがたくさんあります。
修道院や教会などはヨーロッパ文化の宝庫です。
ウィーンにもたくさん修道院があり、街中にもいくつもあります。
ウィーンに来る日本の皆さんと修道院として圧倒的に多く観光する所は、メルク修道院や
ウィーンの森のハイリゲンクロイツ修道院などは頻繁に行きます。
さて、今日は私が本当にお勧めしたい、そしてもちろん個人的に大好きな修道院アドモントについて少しまとめてみようと思います。
Admont (アドモント)修道院はシュタイアーマルク州のアドモントにあるベネディクト派の修道院で、
Erzbergからオーストリアアルプスの有名な一角である国立公園にも指定されているゲゾイゼ渓谷を降りてきてすぐの所にあります。
写真の背景にもアルプスが見えていますね。左手前の建物が修道院の建物です。
この修道院は大司教Gebhartによって1074年に作られました。その3年後同じ大司教によってザルツブルクのホーエンザルツブルク城も作られることになります。
実際にザルツブルクのベネディクト派ペーター修道会から当時修道士達がここにやって来ました。
シュタイヤーマルク州では最古の修道院です。
ここは修道院としてはかなりモダンな展示で、メルク修道院のように様々な修道院の歴史的遺産を見ることができ、また自然学的な展示もありとても充実しています。
この修道院が有名なのはとにかく図書館です。
ここの図書館を見るためにたくさんの方が訪れるわけです。
このAdmont修道院の図書館は修道院の図書館としては世界最大で、
長さ70m,幅14m,高さ11m,中央ドームの高さ12.7mの大空間です。
完成は1776年で、Josef Hueberによるものです。彼はウィーンで生まれて、もっぱらシュタイヤーマルク州で活躍したバロックの建築家で、ウィーンの王宮にある、世界で最も美しいと言われている国立図書館のPrunksaalを参考にしました。
この図書館のプラン自体は1764年から存在していました。
この図書館の空間は全部つながっていますが、3つの部分に分けられ、2階建て構造で、7つの天井ドーム、48個の窓が採光を取り入れています。
素晴らしい天井フレスコ画は、バルトロメオ・アルトモンテによるものです。
彼が82歳の時に仕上げたもので、キリスト教の啓示がテーマになっています。
また、Josef Satmmelによる、天国、地獄、最後の審判、死という人間の4つの終末を表す彫刻群も見逃せません。
この空間には約70.000冊の蔵書があり、修道院全体では200.000冊の蔵書があります。
手書き書だけでも1400冊以上あり、8世紀の物も存在しています。
他の修道院や閲覧室などに見られる18世紀定番の茶色の落ち着いた色合いと比べると
対照的な白と金という色調です。窓の数が多いことも重要です。
後期バロック様式ですが、ロココ様式も感じることができます。
このアドモント修道院の図書館には"秘密の扉"があります。
左上の写真に2つの本棚が見られますが、その真ん中にある柱のすぐ左側が秘密の扉です。
右上の写真は、係りの方がその扉を開けてくれています。奥に螺旋階段がありますね。
こちらは図書館の床です。
赤、白、灰色の大理石が規則的にサイコロ状で合計で7000枚以上も敷かれています。
もちろん上の写真で見られるように平面ですが、しかし、見方によってはとても立体的になっています。
このアドモント修道院の図書館は本当に必見です!!
ウィーンからは車でA1経由だと220km、A2とゲゾイゼ渓谷経由だと250kmと、かなり遠い所にあり、すぐには行けないかもしれませんが、ゲゾイゼ渓谷界隈は車で走るととても気持ちよく、美しいオーストリアアルプスを楽しむことができます。