ウィーンの街には様々な教会があり、それぞれの教会は個性があります。
でも"キリスト教史" や"教会史" などに少しでも触れると、カトリック教会としての習慣や
共通性というのが見られます。
今日はウィーンの中心部ではなく、ちょっと外側にある重要な教会に触れてみます。
この教会はマリアヒルファー教会で、現在のウィーン6区の有名なデパート街とも言われるマリアヒルファー通りにあります。
6区の名称もマリアヒルフです。
この場所はウィーン川の流れに向かって左側の岸の一番高い部分に位置し、17世紀の1660年に墓地の礼拝堂として、Philipp Friedrich von Breuner 司教によって献堂され、当時は木で作られていました。
当時の質素な礼拝堂の唯一重要なものは"Mariahülf" ・・・マリアの助けと言われるマリアとイエスの慈悲画で、ウィーンや周辺からのたくさんの巡礼者が集まりました。
巡礼者がどんどん増加してきたことからバルナバ会が1669年に石の礼拝堂にし、同時の司祭さんの居住できる住居も併設しました。
1683年にオスマントルコの襲来によってここは破壊されてしまいます。
しかしマリアの大事な慈悲画は、ここから城壁内へと避難され、守られました。
1686年~1689年に再建が行われ、マリア慈悲画も戻されました。
現在でもシュテファン大聖堂までの祈念祭行列が毎年秋に行われ、この絵もいっしょに運ばれます。
1711年から現在の教会のように改築が始まり、印象的な2本の塔は1715年に始まり、1726年には完成しています。
塔の高さは52mです。
ちなみに教会前に立っている像は音楽家のハイドンです。
内部はこの時期の建築様式を象徴する
美しいバロック空間です。
よくあるラテン十字架構造です。
正面の主祭壇は大理石で作られていて1757/58年Sebastian Haubtのプランによるものです。
この主祭壇はウィーンで最も大きな大理石の祭壇のひとつです。
この中央に前述したマリア慈悲画があります。
このマリア慈悲画は、パッサウのMariahilfer Berg にあるコピーで、インスブルックにある教会にも見ることができます。
これら3つの慈悲画は、奇跡の癒しがあるとされています。
十字架の水平部分には2つの礼拝堂、脇にそれぞれも3つの計6つの礼拝堂があります。
天井のフレスコ画も綺麗で一見の価値があります。
聖母マリアの生涯、マリアを讃えたテーマになっています。
特にVierung (十字架形の交差地点)の頭上のドーム的フレスコ画はだまし絵の効果を見ることができます。
クリプタ(地下聖堂)は地下納骨堂があり、そこは1996年以来カリタスによっていわゆるホームレスの方々の日中滞在できる場所になっています。
この界隈に来たら、訪れる価値がある教会です。