シュテファン大聖堂からすぐの所に、美しい中庭を持ったドイツ騎士団修道会があります。
そこには教会が付属していますが、外からでは小さな塔が見える程度で建物に組み込まれて
いるため教会らしく見えません。
そこを通る人は教会がそこにあることには気づかないかもしれません。
今日はそのドイツ騎士団教会について少しまとめてみようと思います。
ここがドイツ騎士団教会になる前には別の教会が建っていて、その頃からの一番古い部分はこのちょっと印象的な塔です。
この13世紀初頭の塔だけが当時からのものとして残されています。
いくつかの火災の後、何回かにわけて新しく建築され、1395年アドヴェントの第4日曜日に聖別式が行われました。
この時から現在の姿になています。
ドイツ騎士団は1190年に、現ドイツのブレーメンやリューベックの商人達が、
第3回十字軍の一員として参戦したドイツ出身の戦士を守るため、現イスラエル北部のアッコンに設立された、
"エルサレムの聖母マリアのドイツ人の家の兄弟会"と言われたエルサレムにあったかつての病院が前身です。
1191年にローマ教皇クレメンス3世によって公認されました。ウィーンのこのSingerstraßeには1204年~1206年に定住しました。
一種の慈善団体として現在でも存続しています。
こちらは教会内部で、ゴシック様式の意外と狭い長細い空間です。
当初からこの細長いスペースでプランされています。
バロック時代には楕円形フォームが追加されました。
主祭壇に向かって左側の壁には80以上のワッペンが目立ちます。
これは教会内で刀礼を受けた騎士が自分のワッペンを飾った習慣からのものです。
主祭壇にある絵は1667年トビアス・ポックによるもので、聖母マリアの膝の上にイエスが描かれ、さらにエリザベート、ゲオルク、ヘレーネが描かれています。
マリアの膝の上にいるイエスがエリザベートに王冠を授けていて、一番上には父なる神と精霊が描かれています。
エリザベートはこのドイツ騎士団の守護聖人で、13世紀前半に生きたハンガリー王女でElisabeth von ThüringenやElisabeth von Ungarnとよく呼ばれています。
その下の見開き祭壇は1520年、ベルギーで製作されたものです。
この教会の入口は中に入った所にあるため目立ちませんが、近くを通ったらちょっと寄ってみて下さい。
ちなみにここの中庭は知られざる美しい中庭風景1で紹介しています。