前回では、フンデルトヴァッサーハウスが建てられる背景や彼のコンセプトなどについて
書きましたが、この続編ではフンデルトヴァッサーハウスにちょっと細かく触れたいと思います。
前回のフンデルトヴァッサーハウス1はこちらからどうぞ。
フンデルトヴァッサーハウスの全居住面積は3.556,76m²で、住居数は50あり、その他4つの商業空間とひとつの診療所があります。
さらに2つの子供達の遊ぶ空間、3つの共同テラス、1つの室内テラスがあります。
建物が立っている敷地面積は1.092m²です。
住居は5種類あり、40,7m² が8世帯、60,36m²が14世帯、80,17m²が25世帯、117,37m²が2世帯、148,59m²が1世帯の計50世帯です。
住人の状況によって人はそれなりに広い部屋を必要とする人や、逆に、な小さい部屋でもいい人など、皆同じ条件で同じ環境で生活できるということです。
中間の広さ80m²が半数を占めていることがわかります。
いわゆる家賃は1m²につき約5ユーロという相場で、約150人が生活しています。
(現在の賃貸料金は変わっている可能性があります)
建物は煉瓦建築で、フンデルトヴァッサーは帝国時代からの古い煉瓦も使用しています。
意図的に玉ねぎ屋根を使用しています。
これはトルコ軍ウィーン包囲時代から、ビザンチン、ロシア、そしてインドまでも浸透している世界観を示しています。
建物の外観もフンデルトヴァッサーの特徴のひとつであるカラフルな色が多く使用されていますが、よく見ると色が塗られていない所もあります。
フンデルトヴァッサーは居住空間には色を使い、入口などの公共空間には逆に色を使用していません。
窓も8種類のタイプが使用されていて、ウィーンでよく見られるT-Kreuz(T クロイツ)と言われる形が多いです。また窓の上には古典建築ではよく見られるセラミックのかなめ石的な装飾も印象的です。
中に住んでる人とは無関係に外側の壁と窓が勝手気ままに踊っていて楽しんでいる印象を
与えます。
しかし、ヨーロッパの建築様式であるバロックやユーゲントシュティールなども取り入れ、モダン的要素も見られます。
屋根にも緑が多く見られ、またときおり窓からも木が飛び出しています。
植えられた木は約250本で、約900トンの土が使用され、広さ920m²もあります。
自然との共存コンセプトを見ることができます。
また、地面もうねっていて所々に曲線を見ることができます。
全くの余談ですが、私の家内の友達の両親がこのフンデルトヴァッサーハウスに住んでいて、その関係で私はフンデルトヴァッサーハウスに入って、その方の住居を見せて頂いたことがあります。
プライベートなのでここでは居住空間の写真は掲載しませんが、部屋はフンデルトヴァッサーならではのモザイク的壁が多く、エントランス空間からエレベーターに乗り、各階の廊下など随所にフンデルトヴァッサーの世界が展開されています。
意外と部屋には光が多く入り、住み易そうな空間でした。
また住人が使用できる外のテラスも素敵な空間でした。
ちなみに右上写真の玉ねぎの塔はそのテラスから撮影したものです。
住人はあまり意識して住んではいないようですが、しかしここは年中観光客が集まる場所と現在ではなっています。
これがウィーンの市営住宅であることがまたおもしろい所です。
中心からちょっと行きにくい所にありますが、時間があれば是非訪れて下さい。