フンデルトヴァッサーハウス 1

ヨーロッパの様々な建築様式が見られるウィーンの街ですが、その中で古典建築ではなく、

カラフルな色と曲線という独特の個性を持ったフンデルトヴァッサーはたいていのガイドブックでも紹介され、日本でもフンデルトヴァッサーを好きな人が多くいます。


      フンデルトヴァッサーのバルバラ教会はこちらから

 

フンデルトヴァッサーが手掛けたものは数多くありますが、中でも彼の一番の代表作である市営住宅のフンデルトヴァッサーハウスは有名ではありますが、一般的なツアーでは残念ながら訪れることがとても少ないのでここで話題にしたいと思います。

 

1972年、フンデルトヴァッサーはあるテレビ番組に出演した際に、屋上や窓から豊かな緑に覆われた"高い草原の家"のような自然と人間の共存建築コンセプトについて語っていました。

 

1977年11月30日の当時のオーストリアの首相であるブルーノ・クライスキーから当時のウィーン市長レオポルド・グラッツに宛てた手紙の中で、住居にするにあたってフンデルトヴァッサーに可能性を見い出してはどうだろう・・・という推薦をしています。

同じ年の12月15日付の手紙で市長グラーツはフンデルトヴァッサーを招き、彼のコンセプトで住居を建てることを依頼します。

 

フンデルトヴァッサーは建築家ではないのでウィーン市に彼のコンセプトを理解できるサポートとなる建築家のパートナーを依頼し、Josepoh Krawinaが紹介されました。

しかし、1979年当初Krawinaがウィーンの社会住居規定をベースに提示したプランはフンデルトヴァッサーの期待を大きく裏切るものでした。

その後まもなく、幸運にもフンデルトヴァッサーのコンセプトが建築規定の例外で認められました。

1980年には2つめのプランが出されます。

 

その後もフンデルトヴァッサーとKrawinaの間には争いが多く、特に建物のFassade(ファッサード)で対立し、結果的に1981年10月4日にKrawinaはプロジェクトから外れることになります。

フンデルトヴァッサーはウィーン市に手紙を書き、彼のコンセプトを実現するために建築家の交替を頼みます。

そこでウィーン市の都市計画部門の職員であり、また建築家でもあるPeter Pelikanが彼をサポートすることになります。

Peter Plikanはその後もフンデルトヴァッサーの信頼されたよきパートナーとなり、いくつもの仕事を一緒にすることになります。

 

さて、そんな対立や土地の確保などから時間が経って行き、結果的に1983年8月16日から

フンデルトヴァッサーハウスの建築が始まることになり、1985年10月には完成しました。1986年2月17日に引き渡されることになります。

 



一度見たら忘れない、そして見ているだけで楽しめるフンデルトヴァッサーハウスは

カラフルな色、可能な限りの曲線が使われています。


フンデルトヴァッサーはアスファルト化された道路は不自然であり、本来様々な姿が

地球上にある・・・それと同様に様々な生物が、様々な表情で人生を歩んでいる・・・だから地面、床、窓、屋根、建物だって様々な表情があるべきだ・・・という考えを持っていました。

旅行では様々な自然と出会ったフンデルトヴァッサーですが、都会に来ると、味気なく角ばった建物やアスファルトが当たり前・・・そんな不自然さが彼の徹底した自然と結びついたコンセプトを生み出したわけです。



 

フンデルト・ヴァッサーは、失業中のエンジニアの父エルンストと母エルザの間に1928年12月15日ウィーンで生まれました。

フンデルト・ヴァッサーが1歳の初めての誕生日を迎えた13日後に父エルンストは盲腸で亡くなっています。

その後母がひとりで彼を育てました。

 

7歳でウィーンのモンテソーリの学校に入り、その頃から彼は、すでに普通とは全く違う形やカラフルな色を使って描いていました。

母エルザはユダヤ人でしたが、フンデルト・ヴァッサーはカトリックの洗礼をこの頃に受けています。

 

ヒトラーの時代、オーストリアが併合されたことで、フンデルト・ヴァッサーはウィーン市の学校に編入しました。

ウィーンの美術アカデミーでも少しだけ学びますが、その後、イタリア、フランス、モロッコ、チュニジア、シチリアなど色々な所を旅しました。

1962年には"いけわだ ゆうこ"さんという日本人と再婚しています。

そのため日本にも滞在したことがあるフンデルトヴァッサーです。

2000年2月19日にクィーンエリザベス号の船の上で亡くなりました。

 

 


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