美術史博物館のクリムト 2

美術史博物館の大階段ホールのクリムトは注意しなければ見過ごしてしまう位置にあるわけですが、前回の美術史博物館のクリムト1の続きです。


 

こちらは "エジプトI,II"です。

 

生きてる間に死後の人生を考える文化というのはこのエジプト文化をおいて他にないのではないでしょうか。

 

実際にクリムトの絵画にはよく生と死ということが登場します。

 

ここでは左の裸体の女性が産婦を表現してたエジプトIです。

クリムトらしい女性の裸体像です。彼女の右手にはAnch (Ankhともアンク)と呼ばれるエジプト十字を見ることができます。

 

柱の間には死を表現したエジプトIIである女性像を見ることができます。

静かに立っていることがわかりますね。

 

 

こちらは"Altitalienische Kunst"(古いイタリア芸術)で14世紀から15世紀初頭を表しています。

 

フィレンツェ、ピサ、シエナといったイタリアの街でジョットやドナテッロなどが活躍します。

 

フィレンツェは有名な詩人ダンテを生み、彼は神曲を

書いています。

ここでは左の男性がダンテ、右の女性が神曲に登場するベアトリーチェかもしれません。

 

 



今回2回に分けて書いた美術史博物館のクリムトは、1891年の彼が29歳の時に手掛け、

彼のカンパニー時代に描かれたものです。

カンパニーは弟のエルンスト・クリムト、学友のフランツ・マッチュの3人で運営され、

劇場の天井画などの仕事を請け負いました。

そのため、この大階段ホールの残り3面の同じアーチの上には、エルンスト・クリムト、

フランツ・マッチュ、3人の共同作品をさらに見ることができます。


2012年はクリムトの生誕150周年記念であり、その時美術史博物館ではクリムトの壁画が

近くで見られるようにということで、足場が組まれました。

そこでこのように間近で見ることができたわけです。


この時代はクリムトのスタイルは初期であり、リンク道路時代に見られる保守的で、過去の様々な様式が重んじられた時代でした。

そのため彼の初期の作品と同様、とっても写実的ですが、十分クリムトの特徴を見ることが

できます。





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