ウィーンの市庁舎のそばにひっそりと立っている像に気付く人は果たしてどのくらいいるでしょうか?
市庁舎はフランドル風ゴシック様式でとても立派な建物ですし、その市庁舎前広場では
年間を通して様々なイヴェントが行われています。
クリスマス市やスケートリンクなどは毎年地元でも楽しみにしているイヴェントです。
その市庁舎のすぐ脇のアーケードの一角にこの像があります。
この像は"Wehrmann in Eisen"で
鉄でできた防衛男なんて直訳を勝手に
してますが、兵士の様ですね。
もともとこの像は1915年3月6日に
Scwarzenberg広場に置かれ、
第一次大戦で亡くなった兵士の妻や
子供達を救済する目的でした。
よく見ると鉄で兵士ができているわけではなく、釘が打ち込まれていることがわかります。
この兵士自体は菩提樹の木で作られています。
この像は1919年まで、Schwarzenberg広場に置かれ、
その後倉庫に置かれ、1934年5月、
王宮にあるBurgtorが第一次大戦で
亡くなった兵士達の英雄記念となったことがきっかけで、再び
Schwarzenberg広場に置かれて以前同様寄付の運動があり、その年9月にはそれも終わって現在の場所に移されました。
上の写真は兵士の足元です。無数の釘が打ちつけられていることがわかりますね。
釘の数は50万本と言われています。
前述したように第一次大戦で亡くなった兵士の妻や子供達を救済する目的で義援金を出した
人々がこの像に釘を打ち込むことができ、名前を芳名録に書いてもらえました。
このような像は当時オーストリアには結構あったらしいですが、このウィーンのSchwarzenberg広場に置かれた像が最大だったということです。
釘を打ち込むということでは、以前もここで話題にしたケルントナー通りの終わりにある
Stock im Eisen(シュトック・イム・アイゼン)を思い出させます。