ウィーンで最も美しい歩行者天国のグラーベンをシュテファン大聖堂側から歩いて行くと有名なペスト記念柱がを見ることになりますが、そのまま少し行った右側の引っ込んだ所にバロック様式のペーター教会(Peterskirche)が2本の塔を見せて立っています。
ウィーンには数多くの教会がありますが、今日はこの教会について少しまとめてみます。
ペーター教会はウィーンで最も古い教会です。たいていのガイドブックでは"ウィーンで2番目に古い教会"と書かれていますが、この教会の最初は4世紀となっているため、ウィーンでは歴史的に見て一番古い教会です。
この場所はグラーベンの北側、つまりローマ時代ヴィンドボナの一角にあたるわけです。
外観は18世紀初頭のバロック様式ですから、容姿から見た場合はウィーンで2番目に古いと言えるでしょうか。
この教会は4世紀の後半に、ヴィンドボナ時代のKaserne(兵舎とか長屋のようなもの)をバシリカ風の教会に改築したことから始まったようです。
その後の歴史の中でカール大帝が792年にここに教会を作らせたという説もあります。
最初の記録では1137年に聖人ペトロ(ペトゥルス、ドイツ語でペーター)に捧げられたということが確認できます。
その後ロマネスク様式やゴシック様式に改築されたりしていますが、12世紀の終わりにショッテン修道会の管轄に入り、1661年には火災により焼失しました。
その後、皇帝レオポルド1世の提唱により新しい教会にすることが決まり、ベルヴェデーレ宮殿を手掛ける建築家ルーカス・フォン・ヒルデブラントにより現在のバロックの姿になり1701年~1733年の間に完成しています。
教会内部は外からは想像できない素晴らしいバロック空間です。
こちらの写真は教会に入って正面奥に位置している主祭壇です。
Antonio Galli-Bibienaのプランで、Martino Altmonteによる祭壇画です。
上には聖三位一体が描かれ、エルサレム神殿前にいる12使徒のペテロとヨハネが身体障害者を治しています。
主祭壇の上には神の名"JAHWE"の栄誉が表されています。
手前にはだまし絵的ドームが見えます。
左の写真は内部空間をちょっと別の角度から見ています。
右の写真は上に設置されているロココ様式のパイプオルガンでパイプの数は2175本です。
この部分はMatthias Steinlのコンセプトです。
天井のフレスコ画はカールス教会の天井画も描いたミヒャエル・ロットマイヤーによるもので、彼がほぼひとりで2年の歳月をかけて描き、1714年に完成しています。
このフレスコ画のメインテーマはマリアの天界での神とイエスからの戴冠を表したもので、さらに上に伸びた中央には精霊の鳩が描かれています。
左の写真では中央から見て、その下にいる人がマリアです。
たくさんの宗教的重要人物や天使が描かれています。
ここまでの高さは床から56.8mです。
このペーター教会はグラーベンの雑踏からは信じられない、静けさが漂う宇宙的バロック空間を楽しむことができます。
是非お見逃しなく!