今年も早いもので今日は2014年の最後の日、大晦日です。
生活の中では年間を通して一番重要な"クリスマス"が終わり、ウィーンの街はいつもと変わらない風景ですが、しかし大晦日が近づくにつれて、何となく慌ただしく、しかし学校も休みですし、社会人もこの時期は休暇を取る人も多いので、交通量はさほど多くありません。
クリスマスが終わっても、クリスマスツリーはまだ飾っておきますし、街中のイルミネーションだってそのままです。クリスマスツリーは1月6日の聖三王の日が過ぎるまでは絶対に
飾っておきます。
クリスマスが終わると同時に街中には豚やてんとう虫を売る屋台が待ってましたと言わんばかりに登場します。
大きいものから小さい物まで色々な種類がありますね。これらはGlücksbringer
(グリュックスブリンガー)
・・いわゆる幸せをもたらす物とされています。
これを元旦に贈ることによって
"この1年またいいことがありますように・・・"とか"健康で無事に過ごせますように・・・"といった意味があります。
豚はすでにゲルマン民族では聖なる動物と見なされていました。
例えば北欧ゲルマンの女神Freyaは豚が聖獣であり、別名Syr、これはドイツ語のSau(豚)を表します。
ギリシャ神話に登場する女神デーメーテールのために豚が捧げられています。
ヨーロッパ文化圏では一般的にぶたは、豊かさのシンボルです。
Glücksschwein (幸せのぶた)は、その古来の習慣から、多産の象徴であると同時に、
幸せをもたらすもの・・・とされたわけなんですね。
今年も幸せがもたらされるように、こちらでは元旦には豚肉を食べたらよいと
されています。
昔は豚肉は限られた人しか手に入れられなかったもので、極稀にしか食べることが
できませんでした。
そのため豚を持っている人は、「豊かで幸せである」と見られていたんですね。
てんとう虫も豚と並んでとてもポピュラーな新年の贈り物です。
中世の頃、てんとう虫が聖母マリアに捧げられて以来、Glückskäfer
(グリュックスケーファー)とも呼ばれ、幸せをもたらすものとなっています。
てんとう虫はドイツ語ではMarienkäfer(マリーエンケーファー)といいますが、名前にはマリアが登場しますね。
てんとう虫に何かしたり、ましてや殺したりしたら災いがもたらされるとされています。
特に赤の7つ星のてんとう虫は、魔女と不運を外に出して遠ざけるという意味があります。
7という数字は一般的にもラッキーな数字でもあります。
またてんとう虫が飛んできたら、その飛んできた子供を守り、病気を治すとされています。
その時は絶対に払い落としたり、殺したりしてはいけません。
災いがやって来るとも言われています。
てんとう虫も幸せをもたらすものですが、子供を守り、病気を治すことから健康と結びついているわけです。
そこで元旦には豚やてんとう虫を贈る習慣があるわけです。