先々週からウィーンはクリスマスツリーが街中で売られています。
11月半ばからクリスマス市が出始めてクリスマスの雰囲気が一挙に漂うわけですが、
この時期ツリーが街中に出て来ると、ますますクリスマスが近づいて来るんだな・・・
と思います。
今日は12月23日ですが、今日にツリーを買う地元の方もまだまだ多いんですね。
こちらでは毎年もみの木(Tannenbaum)が売られますが、特にこのクリスマスツリーのもみの木は、ここオーストリアではChristbaum(クリストバウム)と呼ばれています。地元では家庭に飾るクリスマスツリーとしてもみの木を毎年買うわけで、ウィーンの街中には至る所でChristbaumが売られています。背丈が高いものから低いもの、全体の形が整っている物など様々です。
オーストリアは林業も重要な産業であり、計画的な植林をしているため、もみの木がなくなることは絶対にありません。ちなみにここオーストリア産の赤松などは日本にも輸出されています。
ツリーを売る業者によってはもみの木の他にFichte (トウヒ)も売られます。
シェーンブルン宮殿や市庁舎のように大きなツリーが必要な時には、もみの木ではなくトウヒが飾られます。30mを超えるもみの木はそのこまで成長する時間もかかります。
20m~30mを超えるもみの木はまず見たことがありません。
重要なことは常緑樹であるということで、この時期に緑であることが大事です。
クリスマスツリーが売っている場所には、このような円形の物が必ず置かれています。ツリーはネットに包まれて運ばれ、ネットが外されてKreuzと呼ばれる十字型の木に立てられて売られています。
どれを買うか決めたら、Kreuzが欲しいか欲しくないか聞かれますが、どこの家庭にもたいていはKreuzの代わりにクリスマスツリーを支える物があるので普通はKreuzは要りません。
そしてツリーの根本部分からこの円形の中にツリーを通していくと、狭くなっていく円形の中を通りながらツリーの葉が折りたたまれて、同時にツリーがネットでくるまる・・・という中々便利な物です。
その方が持ち運びに便利ですね。この時期には仕事帰りにツリーを引きずっている人や、車の上にツリーを乗せている人をよく見かけます。
さて、買ってきたツリーを部屋に飾って装飾をするのはたいてい12月24日の午前中で、
結構ギリギリなんですね。それまでは庭がある所ではツリーはネットにくるまれたまま外に置いておきます。
部屋の中に早くからだしてしまうと乾燥してしまうからです。
うちの今年買ったクリスマスツリーもネットにくるまれたまま庭のテラスに立てかけて置いてあります。
クリスマスツリーを飾る習慣は、"クリスマスの習慣はどこから来た?"でも書いたように、
以下の3つの習慣が現在のクリスマスの原型で、その時の冬至祭やキリスト教よりもっと
古いサトゥルヌス祭で常緑樹を飾る習慣がありました。
①その多神教の中での太陽神ミュトラスを信仰するミトラ教はとても重要で、
太陽神の誕生を祝う冬至祭が12月25日であったこと。
②農耕の神サトゥルヌスを崇め、豊穣を祈願するお祭りのサトゥルナーリア祭、
これは紀元前217年頃からあったとされています。
③北欧のユールの祭りからも影響を受けています。
北欧においてもケルト、ゲルマンが信仰していた神々やその風習が取り入れられ、
収穫の感謝と太陽の復活を祝う冬至のお祭りがありました。
なぜ、常緑樹を飾ったのでしょうか?
日が短い冬の暗い闇と戦い、闇を追い払うために人々はその時日が短い太陽を元気づけるために火を燃やし、大地のなかの生命が生き続けていることを示すために、冬でも葉を枯らさずにいる、生命のシンボルでもある常緑樹を飾ったということです。
ヨーロッパで最初にクリスマスツリーが飾られたのは15世紀前半の1419年からと
されています。