ウィーンの王宮には、色々な博物館が入っていますが、以前話題にしたSchatzkammer (宝物館)には歴史的にとても重要な帝冠を見ることができます。
この帝冠は"ルドルフ2世の帝冠"で、1804年以降は"オーストリア帝国帝冠"と呼ばれているものです。
このルドルフ2世の帝冠ではありませんが、神聖ローマ帝国時代、歴代戴冠式の度に神聖ローマ皇帝の帝冠を使用しました。
その帝冠もウィーンのこの宝物館に置かれているのでいつかまた紹介したいと思います。
このルドルフ2世個人の宝冠は、皇帝の在位期間中の1602年、プラハでJanVermeyen(ヤン・ヴェルメエン)によって製作されたもので、神に仕える皇帝・・・キリストの生きた代理人としての権力の象徴を表しています。
この帝冠は高さ28.3cm,金、七宝、ダイヤモンド、ルビー、サファイア、真珠、紅色ベルベットから成り立っています。
この帝冠は百合の花をモチーフにした帝冠の下の部分、頭部アーチ部分、高位司祭を象徴する司教冠部分と、大きく3つの部分から
成り立っています。
百合の花は8つあり、その周りを真珠が囲んでいます。
天のエルサレムには8つの角が
あると想像されたことから来ています。
8という数字は、天と地の接点となる皇帝の象徴です。
ダイヤモンドはキリストのシンボル、頭上のサファイアは天国、ルビーは王の叡智を表わすとされています。
司教冠部分には4つのシーンが 浮彫りされていて、最高司令官、神聖ローマ帝国の皇帝、
ハンガリー王、ボヘミア王のルドルフ2世の4大称号を表しています。
ルドルフ2世は皇帝マクシミリアン2世の息子のひとりで、 神聖ローマ帝国の皇帝
(1576年〜1612年)であり、ハプスブルク家には珍しくウィーンではなくプラハに居城を置いた人物です。
このルドルフ2世の帝冠が、神聖ローマ帝国崩壊2年前の1804年から始まる
Kaisertum Österreich (オーストリア帝国)の正式の表章となりました。
宝物館に入って2つ目の部屋の真ん中に置かれているガラスケースの中に置かれています。