前回映画「第三の男」の有名なラストシーンに登場する並木道を紹介しました。
この映画の冒頭から流れるテーマソングは世界的に知られていて、今でもウィーンではホイリゲなどで必ずといっていいほど演奏されています。
「第三の男」のテーマソングはAnton Karas (アントン・カラス)によって
Zither (ツィター)で演奏されていて、この映画の中で頻繁に流れ、またラストシーンでも
静かなメロディーで演奏されています。
そのアントン・カラスが弾いたツィターを見ることができます。
こちらがアントン・カラスのツィターです。
アントン・カラスは、1906年7月6日、現在のウィーン20区で生まれ、
その20区のLeystraße 46番地で19歳まで過ごします。
家柄は典型的な労働者階級でした。
彼の音楽的な面は小学校の時代からあったそうですが、家が貧しかったため鉄職人の教育を受けさせられますが、結果的に本人の希望通り、夜間の音楽学校に通うことができ、1924年からは今のウィーン国立音楽大学で学ぶことができました。
ツィターはかなり前から弾いていたようで、ウィーンの現在19区にあるSiveringのホイリゲで演奏していて、すでに彼のお父さんの月収を上回っていました。
1948年、ホイリゲで演奏していた彼はこの映画の監督キャロル・リードの目に留まります。キャロル・リードはこの「第三の男」の音楽を探していました。
そしてアントン・カラスは次の年1949年、この映画の音楽を作るためにロンドンに行き、後に世界的に有名になるこの曲「ハリー・ライムのテーマ」を作ることになります。
このアントン・カラスのツィターは、ウィーンの古楽器博物館で見ることができます。