美術史博物館のラファエロ

美術史博物館は誰でも知ってるダ・ヴィンチとかミケランジェロとかがあるわけではありませんが、絵画史上重要な作品が目白押しです。

以前ここでも触れたルネッサンスの ヴェネツィア派の絵画も素敵ですが、

今日はルネッサンスの3大巨匠のひとりラファエロです。

ウィーンの美術史博物館にはラファエロの「草原の聖母」があります。


ラファエロは1483年ウルビーノで生まれ、ペルジーノの工房でも仕事をしたと言われ、

1504年頃からフィレンツェを訪れ、30歳年上のダ・ヴィンチの影響を大きく受けます。

ラファエロの有名な聖母子シリーズの多くはこのフィレンツェ時代に描かれています。


25歳の時にバチカンのローマ教皇ユリウス2世に呼ばれ、ローマで活躍し、

結果的に1520年にローマで亡くなります。

そこで7歳年上のミケランジェロの影響も受けることになります。


この草原の聖母は明らかにダ・ヴィンチの三角形型(ピラミッド型)構成で、マリア、

イエス、ヨハネ3人が生き生きとした調和を示し、一体感を生み出しています。

画面の真ん中に線を引くと、マリアとイエスの顔が同一直線状にきています。

なおかつ、左奥の風景の三角形、イエスと十字架の二等辺三角形も調和しています。


ダ・ヴィンチが完成したと言われるスフマート技法も、ラファエロは自らのものとして

習得していて、ダ・ヴィンチよりも自然形で取り入れ、なおかつペルジーノのもつ柔らかさも残しています。


ダ・ヴィンチの色彩遠近法もここでは登場し、遠くの風景が奥に吸い込まれるようで、

人物像とのかなりの距離感を演出しています。


イエスとヨハネが無言で見つめ合いながらの意思疎通、これをやさしいお母さんが

温かく見守ってるようですね。


音楽家で言えばモーツァルトのようなラファエロは、偉大な芸術家の美の本質を見抜き、

それを自らのものに吸収する才能を持っていました。




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