ウィーンのシンボルであるシュテファン大聖堂は、様々な言われあるものや素晴らしい芸術作品、何気なく、しかし重要な意味を持っているものなどがたくさんあります。
このコーナーでも有名な説教壇、大鐘のプンメリン、記念プレート、巨大な屋根、
ステンドグラスなどと結構話題にしています。
今回はそのシュテファン大聖堂にある有名な聖像画についてです。
シュテファン大聖堂に入るとすぐ右側に、椅子が並べられていて、立派な後期ゴシック様式の天蓋付祭壇に収められている
聖像画があります。
これは"Maria Pötsch"(マリア ポッチュ)と言われる聖像画で、特に"Unsere liebe Frau Maria Pötsch" (私達の愛するマリアポッチュさん)と呼ばれています。
この聖像画は木に描かれ、聖母マリアがイエス・キリストを抱いていて、1697年からこのシュテファン大聖堂に奉られています。
最初は主祭壇の聖櫃の上に置かれていましたが、1945年にこの場所に移されました。
Maria Pötsch の Pötschというのは、これが作られたハンガリーの村の名で、1676年に製作され、その村の教会に、ある奇跡が起きるまで、あまり注目されないまま置かれていました。
その奇跡とは、このマリアの聖像画は涙を流すということです。
ハンガリーの村の教会に置かれていた当時、ある農夫が11月4日にこのマリア像が涙を流しているのを見ました。
その後、繰り返し涙を流したそうですが、オスマントルコによって国が荒らされ、その危険が過ぎ去ってからは涙が渇いたそうです。
別の話では、1696年、ワインも凍ってしまうほどの厳しい冬でも、このマリアの涙は凍らなかったそうです。
その奇跡を聞いた皇帝レオポルド1世の妻エレオノーレ皇后が、この奇跡のマリアをウィーンに運ばせたということです。
1683年ウィーンにオスマントルコが攻めてきた時、ベルヴェデーレ宮殿で有名なプリンツ・オイゲンが大活躍をしましたが、その後の1697年のZentaでのトルコ軍との戦いの勝利も、このマリア ポッチュのおかげとされています。
シュテファン大聖堂に限らず、教会内には主祭壇の他に、様々な脇祭壇や、崇拝の対象となるものが多く見られますが、それらは色々な伝説を持っているわけです。