以前 ハイリゲンクロイツ修道院のパイプオルガンについて少し書きました。
こちらの教会には必ずといっていいほどパイプオルガンがあります。
ミサで重要な役割を担い、また教会のオルガンコンサートも魅力的です。
でも教会ではなくてもコンサートホールにもパイプオルガンがあります。
こちらは世界で最も音響のいいホールのひとつである 楽友協会ホールのパイプオルガンです。
このパイプオルガンは有名な大ホール「黄金の間」の舞台の上方に設置されています。
この写真に見られるオルガンの正面部分はイミテーションで、実際に音が出るパイプではありません。
このオルガンの箱の中に実際のパイプがあります。
このオルガンの箱は、このホール当時のもので、このホールを建築したテオフィル・フォン・ハンセンの設計です。
楽友協会ホールは1870年に完成しています。
当時のオルガンは1872年、有名なオルガン製造者Friedrich Ladegastによるもので、3段鍵盤、ペダル、52のレジスターがありました。
この年にアントン・ブルックナーが最初のオルガンコンサートをしています。
1907年にこのオルガンは新しいRieger社製のオルガンに替えられ、当初からのオルガンの箱に設置されました。
その後、専門分野での激しい論争にもかかわらず、1969年にWalcker社のオルガンに替わりました。
やがてそのオルガンが修理不可能であるほどの状態となり、2011年に再びRieger社の新しいオルガンが同じ場所に設置されました。
これは4段鍵盤で86のレジスターとペダルを所有しています。
つまりこのホールにとって現在は4台目のパイプオルガンということになります。
Rieger社は1845年からの歴史あるオーストリアのオルガン製造会社で、シュテファン大聖堂のオルガンもRieger社のオルガンです。
最初に「この正面に見えるパイプはイミテーション」と書きました。
パイプオルガンのメンテナスは大変で、時間がかかります。
メンテナス中にコンサートが行われても、ホールの視覚的美しさが損なわれないようにという理由からです。