オーストリアワインについてもう少し深く書こうと思いながら、かなりの時が経ってしまいました。
去年8月15日付けでオーストリアワインというタイトルで、オーストリアワインの基本的な姿と生産地域や面積などについて紹介しました。
今回はオーストリアワインのランクについて紹介します。
「オーストリアワイン」と漠然と表現すれば以前紹介した ホイリゲが圧倒的に比率が高く全体の約90%に上るわけですが、これある意味で瓶詰めされるような質のいいワインではありません。
でもホイリゲは口当たりがよく、地元でじゃんじゃん飲まれる新酒のワインです。
オーストリアワインの醍醐味は、残り10%ぐらいしか作られていない、しかもヨーロッパでは最も複雑とも言われるワインの国家規定により生産され、瓶詰めされたワイン・・・これがオーストリアワインの本来の姿です。
オーストリアワインはヨーロッパワイン法に基づいてはいるものの、自律性があり、原産地統制、収穫量、称号などを維持しています。
まずワインボトルを見た時の大きな違いは、オーストリアのどこで作られたかが細かく記されているか、いないかです。 (Tafelwein は細かく記されない)
ここで紹介するワインランクは、オーストリアのどこで作られたかを始め、様々な情報がラベルに記されているワインの場合です。
よくどこどこ地方の何とかワイン・・・何て言い方をしますが、オーストリアワインの基本的なランクは、収穫目前のぶどうにどのくらいの天然糖度が含まれているかによってランクが決まります。
このランクはブドウの品種などは全く関係なく、糖度と原産地で決まります。
この糖度をKMW (Klosterneuburger Mostwaage)といいますが、1Lの中にどのくらいのKMWが含まれているかによってランク名が定められています。
・Tafelwein (ターフェルワイン) 10.7° KMW 〜14° KMW 未満
・Landwein (ラントワイン) 14° KMW〜 15° KMW 未満
・Quaritätswein (クヴァリテーツワイン)15° KMW〜17° KMW未満
・Kabinett (カビネット)17°KMW
〜19° KMW未満
これより先はPrädikatswein(プレディカーツワイン)と総称して呼ばれます。
・Spätlese (シュペートレーゼ) 19°KMW〜21° KMW未満
・Auslese (アウスレーゼ) 21° KMW〜25° KMW未満
・Beerenauslese (ベーレンアウスレーゼ) 25°KMW 〜27° KMW未満
・Eiswein (アイスワイン) 25° KMW 以上
凍ってる状態でプレスをするため−8°以下でないと25°に達しない
・Strowein / Schilfwein (シュトローワイン、シルフワイン) 25° KMW 以上
最低3ヶ月は藁や葦の上,紐に吊るし天日乾燥させる
・Ausbruch (アウスブルッフ) 27° KMW〜30° KMW未満
・Trockenbeerenauslese (トロッケンベーレンアウスレーゼ/貴腐ワン)30°KMW 以上
※ Landwein 以上のクラスは産地名等が記されています
※ Tafelwein は現在"産地表示無しワイン"と呼ばれています
生産許容量も定められていて、1ヘクタール当たり9.000kgのブドウ量、
もしくは1ヘクタール当たり6.750リットルとなっています。
これを超えた場合は産地なしのワインとして格下げされます。
ターフェルワインから貴腐ワインに行くほど、手間暇がかかり、しかも十分な果汁分を得るためにはたくさんのブドウも必要ですので必然的に値段が高くなり、生産量も少なくなっていきます。
貴腐ワインやアイスワインはその年の天候にも大きく左右されますので、
毎年作られるわけではありません。
そういう意味では貴腐ワインにいく程高級ワインになるわけですが、しかしお酒が好きな
方にはいくら値段が高いワインだからと言っても、甘口ワインはあまり好まれないでしょうから、辛口のアルコール度たっぷり系のボリュームあるワインがいいでしょう。
次回は オーストリアワインの辛さ、甘さについて触れたいと思います。