ウィーンの街を歩いていると、よくBürgerhaus (ビュルガーハウス)として、
赤白の目印的な旗と共に重要文化財に登録されている建物を見かけます。
ウィーンの旧市街にはこのBürgerhausがたくさんあります。
こちらはそのBürgerhausのひとつで、
”Zum gelben Adler" と呼ばれています。
ウィーンをかなり知ってる人にはここがどこだかすぐわかると思います。
ここはGriechengasseの7番地で、以前
紹介した"中世の住居塔"がある場所です。
この建物の正面は17世紀のもので、
後18世紀に新しくなりました。
新しくなったと言ってもバロック時代です。
Bürgerhausは一般的に、そこの街に住む市民(時としてブルジョア・・・
中産階級)の代表的な歴史的住居で、歴史ある旧市街などによく"宮殿"と区別して
用いられます。
中世の頃はたいてい商業や手工業の仕事場も兼ね備え、たいてい通り沿いに隣同士の建物と隙間なく隣接して建てられています。
1階が仕事場、その上の階が住居、屋根裏部屋が物置でした。
このBürgerhausの正面真ん中辺りに、貝殻装飾を伴ったUnbefleckte Empfängnis
(無原罪の御宿り)のマリア像と、その下にはその界隈を照らしていたランタンを見ることができます。
これは貴重なバロック時代の
ものです。
Bürgerhausは、たいてい歴史あるヨーロッパの街が12世紀頃発展することと大きな関係があり、中世社会の中産階級市民の自意識から来ています。
ロマネスク、ゴシック、ルネッサンス、バロック時代は大きな意味を持っていましたが、
その後経済状況の変化、人口の増加などに伴い、18世紀終わりからはその意味が失われて
きます。