映画「第三の男」は、ウィーンが万華鏡のように登場し、カンヌ映画祭でもグランプリを獲得した往年の名映画です。
白黒ですが、ウィーンを知らなくても十分おもしろく、ウィーンの街並みを知っているともっとおもしろい映画で、1949年キャロル・リード監督によるもので、今でも第三の男ファンの方がたくさんウィーンに集まります。
私もこの映画は好きで、いつか時間があればそれぞれの映画のシーンがどこで撮影されたかをここで書きたいぐらいです。
映画で印象的だったシーンはいくつもありますが、大観覧車とラストシーンの並木道は今でも色々なお客様から質問を受けます。
以前ここでも紹介した「ウィーン名物大観覧車」では、少し第三の男に触れています。
今日はその第三の男の有名なラストシーンの並木道についてです!
「第三の男」のラストシーンの並木道はウィーンの有名な中央墓地にあります。
通常観光では中央墓地というとやはり音楽家のお墓がたくさんある区域を訪れますが、この映画ファンの方にとっては並木道の方が大事というわけです。
御興味があれば中央墓地、中央墓地2、中央墓地3、中央墓地4も御覧下さい。
ラストシーン直前でハリー・ライム
(オーソン・ウェルズ)の埋葬シーンがあります。彼の恋人であったアンナ・シュミット(アリダ・ヴァリ)がその埋葬場所から立ち去って行った直後、この写真の場所が登場します。
お墓と並木道の間の緑の芝の所を奥に向かって
彼女が歩いて行きます。
この写真のずっと奥に白いユーゲント・シュティール様式の人が,うつむいているようなお墓が見えています。
これがこの並木道がどこで撮影されたかという大変重要なヒントになるわけです。
このユーゲント・シュティールのお墓の前で、マーティンスとキャロウェイ少佐が車に乗り込みます。
ちなみに左から2番目には現在墓石はありませんが、映画ではここにも墓石がありました。
その後、彼女がこの並木道を真っ直ぐ奥にに向かって歩くシーンです。
上の写真と比較して下さい。
上の写真の左側から2つ目のお墓が、
この写真では一番左側です。
その後、アンナがこちらに向かって
歩いてくる時の並木道です。
これも同じ並木道ですが、前の2つの写真と比べると、方向が逆に撮影されています。
決め手は奥の並木道の一番奥のロシアの碑と、右側に見える前述したユーゲント・シュティールの白いお墓です。
いよいよ本当のラストシーンの並木道です。
実はこれも同じ並木道で撮影されたもので、この写真のすぐ左前方で、マーティンスが
カートにもたれかかってアンナが歩いて来るのを待っています。
アンナがこの並木道を奥の方からこちらに向かって歩いてくるわけです。
しかし、アンナはマーティンスの前を無視して、そのまま通り過ぎて画面から消えて行く・・・というエンディングです。
この本当のラストシーンは前述したこの並木道のロシア碑を背にして撮影されたものです。白のユーゲント・シュティールのお墓よりも、奥で撮影しているためにこのシーンでは映っていないんですね。
映画の並木道は秋から冬場なので、彼らはコートを着ていますし、並木も葉がなく、落ち葉が並木道にいっぱい落ちていました。
この並木道は、中央墓地のカール・ボロメウス教会の裏側にあります。