ウィーンの南の森一角にHeiligenkreuz(ハイリゲンクロイツ)という小さな街があり、
そこに街の名前の由来である歴史ある有名なハイリゲンクロイツ修道院があります。
ここは是非内部見学をしたい修道院です。
今日はその修道院の教会にあるパイプオルガンについてです。
こちらがそのパイプオルガンです。
このオルガンは、Kober Orgel
(コーバーオルゲル)と呼ばれ、中庭から修道院付属教会に入り、
ロマネスクバシリカ様式の空間に
修道士が使う聖壇があり、そこを通ったすぐ左側のゴシック空間が始まるすぐ
手前に見ることができます。
つまり北側です。
天井まで届きそうなぐらい
大きいオルガンです。
皆様を御案内する時には、私は回廊を
先に見学し、その後教会に入ります。
その方が教会がより素晴らしい印象を
与えてくれます。
このパイプオルガンは、Ignaz Koberによって、1804年に作製されたもので
今年で210年です。
そこでKober-Orgelと呼ばれています。
2つのマニュアルと55のレジスターがあり、パイプの数が2959本です。
オルガン手前にある教壇のようなものが鍵盤部分で、奏者はオルガンを背にして
演奏します。
元々このオルガンは、西側正面入り口の、バロック時代当時にロマネスク様式空間に作られたEmpore (聖歌隊席)に1950年まで設置されていました。
聖歌隊席は通常教会に入ると、正面祭壇に向かって、真後ろ側の上部分に見ることができ、たいてい立派なパイプオルガンがあります。
この聖歌隊席は、この中世の教会空間の響きを損なわせたことから、その後取り壊されましたので現在では見ることができません。
このオルガンの壁は、近くで
見ると、緑がかった大理石に
見えますが、素材は木です。
Ignaz Kober は、現在の
チェコで、1756年に生まれ、1813年に亡くなっている、
重要なウィーン宮廷オルガン
製造業者です。
モーツァルトと同じ年ですね。
このオルガンは、シューベルト、アントン・ブルックナーといった有名な作曲家にも
演奏されています。
特にシューベルトは、このオルガンのために「連弾用フーガ」も作曲しています。
オーストリアの歴史ある修道院や教会にはこういった重要なオルガンがたくさんあります。
このコーバーオルガンはこの修道院のメインオルガンとして、今でも素晴らしい音色を
出し、活躍しています。