こちらでも日本と同様に様々な迷信があり、それらが現在の生活の中でも根付いています。
その迷信の中でかなり知られているもののひとつに「塩をこぼすと悪いことが起きる」というのがあります。
これは手に塩そのものを持っていて、その塩を落としてしまうというよりも塩入れを誤ってひっくり返して、塩がこぼれ出てしまう・・・ということの方が一般的でしょうか。
塩をうっかりひっくり返してしまった・・・
その時にはすかさず、左肩の上に塩をふりかけます。
そうすることによって悪いことが起きない
ように・・・ということなんですね。
なぜそのような習慣があるかというと・・・
昔は塩はとても貴重な物でした。
塩は物を保存するのにも重要であり、そこから健康とも結びつき、そんな塩をこぼすなんて
とんでもない・・・ということですね。
古代エジプトなんかでも調味料や薬などとして使われていたことがわかっています。
ここオーストリアにはハルシュタットという美しい街があり、そこは世界最古の岩塩鉱があり、今でも塩が採掘されています。
そこから紀元前800年頃「ハルシュタット鉄器文化」という考古学上重要な文化を築いています。
オーストリアのSalzburg(ザルツブルク)、塩の城というぐらい、塩は白い金とも言われ、莫大な富をもたらしました。
塩が貴重な物であったことの他に、興味深いもうひとつの例を挙げて見たいと思います。
ダ・ヴィンチが描いた最後の晩餐で、裏切者のユダの所に、ひっくり返ってこぼれている塩が描かれています。
そこからイエスの処刑という不吉なシーンの前奏曲でもあるわけです。
左側に塩を投げるのは、おそらく神の右側には天使、左には悪魔・・・そこで左肩にふりかけることによって悪運を追い払うということなんですね。
塩はいずれにしてもとても貴重な物、だからとても大切にされたわけです。
日本の大相撲でも大量の塩を土俵にまきますね。