ウィーンの旧市街を歩いていると様々な発見があり、同時になんでこうなって
いるのだろう・・・といった疑問が出て来ます。
もっとも私自身、仕事柄興味があるからかもしれませんが・・・。
これは地元でも有名なHohe Brücke(ホーエ・ブリュッケ)という橋です。
写真で見られるように、ユーゲント・シュティール様式で作られています。
この橋の上は、Wipplingerstraße という通りで、車や歩行者が普通に通る、通常の通りになっています。
この路駐が見られる橋の下は、
Tiefer Graben という通りです。
直訳すると「深い堀」でしょうか。
もともとこのTiefer Grabenは、後にAlsbachの支流が流れる、Ottakringer Bachという名の川が流れていました。
ここにはすでに1295年には木の橋が架かっていました。
その後この川は橋の上の通りの水準に合わせず、埋められて、1456年からは通りの橋として利用されています。
当時の橋は、両側が石の壁に埋め込まれ、ゴシック様式の先が尖った形でした。
18世紀には、聖ネポムックに捧げられた小さな礼拝堂が橋の上に作られていました。
19世紀後半には、ネオ・ゴシック様式で新たになり、その時には礼拝堂は再建されませんでした。
現在の姿は、橋の上のWipplingerstraßeを拡張することに伴い、Josef Hackhoferのプランによって、1904年に作られたものです。
Hackhoferは、有名なオットー・ヴァーグナーの下でも働いたこともあり、ウィーンのStadtpark (市立公園)を流れる、ウィーン川周辺工事も行っています。
大理石、鉄の欄干も一体化し、洗練されたユーゲント・シュティール様式が見られる美しい橋です。
中世の頃流れていた川の上を渡していた橋は、現在、姿を変えて残され、でも街の根本的な地形はかわっていない・・・というおもしろい場所です。