このコーナーで10月15日にベルヴェデーレ宮殿について書きましたが、バロック建築という観点から見ると、シェーンブルン宮殿よりも美しいのではないでしょうか。
このベルヴェデーレ宮殿の上宮と下宮には、それぞれ大理石の間という宮殿の中央に作られている素敵な空間があります。
その上宮の「赤大理石の間」とも呼ばれている天井に描かれたフレスコ画はとても見ごたえがあります。
こちらが上宮の大理石の間で、カルロ・カルローネによって描かれた天井フレスコ画です。
クロノスに囲まれた勝利の英雄と、その英雄に勝利の冠を渡す軍神マルスが描かれています。
大理石の窓枠の中に、十字に仕切られた窓が見えます。
この窓の上辺から垂直にせり立っているかのように柱が描かれていますね。
その柱の上には蓋のような天井があって、外界の空に向かって描かれています。
この窓の上辺から天井までの高さがたった1m50cmです。
下から天井を見上げると、とてもそんな狭い空間に描いてあるとは思えません。
こちらは、窓の上辺から上の部分です。
垂直方向の描写と、シャンデリアがぶら下がっている場所の
奥行空間がとてもリアルに描かれています。
下から見ると、どう見ても空間があるようにしか見えません。
もちろん平面に描かれています。
以前メルク修道院のだまし絵のフレスコ画についても書いていますが、バロック時代はこのような流行があったわけです。
離れた所から見れ、ちゃんとリアルに見えることを計算して書いているわけですよね。
フレスコ画ですから一発勝負的で、修正は困難ですから、本当に職人技です。
ここを訪れたら、是非上に上がってフレスコ画を目の前で見て下さい。
下から見る効果とは雲泥の違いです。
ちなみに現在ベルヴェデーレ宮殿は館内撮影禁止になっています。
ここに紹介した2枚は撮影禁止になる前に撮影したものです。
※ベルヴェデーレ宮殿内の入り口ホールと、階段ホール、大理石の間は再び写真を
撮っていいことになりました。
絵画コーナーはもちろんだめです。 (2014年 7月5日)
※2017年6月より、フラッシュ無し、自撮り棒なしで、クリムトを始め多くの絵画の写真撮影が許可されました。