2013年8月19日付のブログで美術史博物館について少し書きました。
これだけの内容を誇る美術館は世界でもそう多くありません。
このウィーンの美術史博物館の絵が全て「名画」と言われるレベルの絵の中で、
私が特に好きなのはヴェネツィア派の名画群です。
画家で言えば、ジョバンニ・ベリーニ、ティツィアーノ、ジョルジョーネ、ティントレット、ヴェロネーゼなど、ヴェネツィアで活躍した画家達です。
時代ではルネッサンス~後期ルネッサンスにあたり、色彩の美しさや自然風景の調和などが特徴です。
これはヴェネツィア派の創始者とも言われる、ジョバンニ・ベリーニ
(1430頃~1516)の最晩年の作で
「化粧する若い婦人」です。
ベリーニはヴェネツィアという地方都市をフィレンツェ、ローマに次ぐルネッサンス中心地へと変貌させました。
義理の兄弟でやはり有名な画家マンテーニャの影響を大きく受けています。
この絵から、ジョルジョーネやティツィアーノの好みを予告しているようです。
色彩を人物と風景や、内部空間や外の風景に調和のとれた雰囲気を演出するために効果的に使っています。
こちらはティツィアーノ(1488~1576)の初期の作品「ジプシーのマドンンナ」です。
ティツィアーノはベリーニの下で学び、ヴェネツィア派最大の巨匠で、色彩の魔術師
・・・なんて
あだ名がついてるぐらいで、色がとても綺麗で鮮やかです。
マリアとイエスといったどこにでもあるテーマですが、三角形構図であり、宗教画と自然の風景が調和している特徴があります。
先に紹介したベリーニ同様、風景が効果的に使われています。
風景で使われている色が、画面の別の場所でも同様の色が使われています。
ヴェネツィアの街は私も好きな街のひとつで、とても魅力的な街ですが、
「自然」と言えば海しかないわけです。
そのためヴェネツィアで活躍する芸術家達は、自然に対するあこがれが強く、
このように風景を画面に盛り込ませる・・・という手法が生まれました。
ウィーンの美術史博物館は、ここ最近ヴェネツィア派のコーナーを設け、ベリーニ、ティツィアーノ、ジョルジョーネ、パルマ・ヴェッキオの作品を並べて模様替えを行いました。