8月15日にオーストリアワインについて少し書きました。
オーストリアワインの真髄は瓶詰されたワインですが、飲まれている量から言えば新酒のワイン「ホイリゲ」が圧倒的に多いです。
ちなみに瓶詰されたオーストリアワインはとても奥が深いのでまたこのコーナーで
いつか時間がある時に書きたいと思います。
ホイリゲは必ずガイドブックに紹介されているウィーンやその周辺にあるこちらの文化のひとつで自家製ワインを飲ませる店・・・日本的に言えば居酒屋です。
でも居酒屋とは雰囲気は全然違います。
何と言ってもワインを「ジョッキで飲む!」
これが習慣です。
(ホイリゲ以外では通常ワインはグラスで飲みます)
この可愛らしいジョッキは、1/4 (アイン フィアテル)リットル・・・
つまり250ml です。 単純に250mlのホイリゲを飲む場合と、それを炭酸で割って飲むGespritzt(ゲシュプリッツトゥ)もとても好まれています。
8月中旬から下旬、遅くても9月初旬までに収穫が終わり、すぐにプレスして発酵してワインになります。
習慣から言えばホイリゲは11月11日の聖マルティンの日から解禁になって、翌年の終わりまで「ホイリゲ」として提供されます。
「ホイリゲ」とはドイツ語でheuer (ホイヤー)、heurig (ホイリヒ)「今年、今年の」という意味があり、新種のワインの名称でもあり、それを飲ませるお店もホイリゲと言います。
マリア・テレジアの長男ヨーゼフ2世が農家の人達の訴えを聞き入れて、1784年、年間300日以内に限り、自家製のワインを自らの所で売っていい・・・と言う許可を出しました。
それまでは中間業者がいつもおいしい所を持って行っていたからです。
そこで農家の人々はホイリゲが飲めるということを示すため、
入口に松の枝をぶら下げた・・・この習慣は今でもウィーンや周辺にもかなり見られます。
ウィーンではGrinzing が最も行き易く、中心のリンク道路から38番の路面電車で乗り変えなしで行けます。雰囲気のいい店も多いです
特にウィーンでは一番数多くの店がある、Stammersdorfが地元ではとても有名で
観光化されてない、昔ならではのホイリゲがたくさんあります。
ここで紹介している写真は全てStammersdorfです。
その他ウィーンにはNeustift am Walde,
Nußdorf,Kahlenberg,Strebersdorfなど、
またウィーンの森南にはGumpoldskirchen,Pfaffstätten,Sooß,Baden近郊など知られています。
ホイリゲの店の雰囲気は、たいてい入口は狭く、しかし奥行きがあり、中庭が絵になるようなとても素敵な空間で、暖かい時にはこの中庭でワインを飲んだり食事をしたりします。
どこのホイリゲもそうですが、テーブルにつくとウェイトレスさんがやって来てそこで飲み物を注文します。
飲み物の会計はそのテーブルで済ませますが、普通は飲み終わって、
ホイリゲを出る時に支払いをします。もちろんチップを払う習慣があります。
食べ物は建物の中にコーナーがあり、セルフサービスのようにガラスケースに並んだ様々な肉やサラダ、一品料理などから好きな物を選び、そこで支払います。
ガラスケース以外、その場所に黒板に手書きで書かれた料理が紹介されていて、やはりその場で注文できます。
例えばシュニッツェルなどの人気メニューはそこで注文し、その場で作ってくれますからできたてを味わえます。
黒板に書かれた料理であれば、テーブルで注文することもでき、ウェイトレスさんが運んでくれます。
昔のホイリゲはワインだけを飲みに行く所でした。
でも現在はほとんどのホイリゲがレストラン的に食べ物も提供しています。
でも、レストランにある料理とはかなり異なり、肉やパン、サラダを中心とした田舎料理、ワイルドな感じです。
これは基本的にそのばで調理して出すレストランと形態が違い、あらかじめ作っておいた物を提供する・・・という習慣から来ています。
Buschenschank (ブッシェンシャンク)という名称で営業している所も多いです。
ウィーンでは「ホイリゲ」が圧倒的に多いですが、Stammersdorf などウィーン市郊外のホイリゲや低部オーストリア州、ブルゲンラントなどではBuschenschankが多く用いられています。
時間あれば是非ホイリゲに行ってみることをお勧めします!