ウィーンはヨーロッパ文化が凝縮した街・・・と私はよく表現していますが、建築、音楽、絵画、キリスト教、
歴史・・・ありとあらゆる分野を楽しむことができます。
その「絵画」の中でウィーンは7つの大きな美術館がある中で、真っ先に訪れたい美術史博物館があります。
正式にはKunsthistorisches Museum (地元ではKHMとも略して呼ばれています)...
直訳すれば芸術史博物館です。
ここは絵画の他に工芸品などのコレクションもとても充実しているので
芸術史博物館という名称になっています。
でもあまりにもここの絵画コーナーが有名なので、一般的に美術史博物館とか
美術史美術館、または単純に美術館などと呼ばれています。
ウィーンのリンク道路時代の重要な建築のひとつとして、ゴットフリート・セムパーと
カール・フォン・ハーゼンナウワーによって初めから美術館を意図として作られ、1891年一般公開されています。つまり昔からあった宮殿を使って、何とか美術館にしているわけではありません。例えばフィレンツェのウフィツ美術館はメディチ家のオフィスがあったので、オフィス・・・ウフィツ美術館といいますがそういう形ではありません。
基本はハプスブルグ家のコレクションですが、ここは15世紀~18世紀の期間の作品しかありません。ハプスブルグ家は完成品にしか興味がなかったので、中途半端な未熟的な作品は目もくれませんでした。
この美術館はいい意味でとてもかたよった美術館ですが、しかし逆から見れば
これだけ充実した美術館はヨーロッパにはありません。
よくヨーロッパ3大美術館と言われますが、もちろんルーヴルのような大きさはありませんが、集められている作品の内容がとても素晴らしいのです。
観光ポイントとしてもとても人気があり、多い時には週4回ぐらい、
1日で午前、午後と2回行くこともめずらしくありません。
これは美術史博物に見られるラファエロの有名な「草原の聖母」です。
30歳年上のダ・ヴィンチの影響を受けた、完璧な美しさと安定した3角形構図・・・
見てるだけで心が落ち着きます。
マリア、イエス、ヨハネ・・・昔からある3大キリスト教主人公です。
ダ・ヴィンチのモナリザの背景と同様の色彩遠近法(空気遠近法)が用いられています。
キリスト教宗教画は私達日本ではあまり縁がないかもしれませんが、キリスト教は
とても重要です。キリスト教はひとつの学問です。キリスト教の世界が見えてくると
ヨーロッパはもっとおもしろく見えてきます。
絵画などはまさにその典型的な例でしょうか。
ここの美術館の絵画だけを紹介しても時間がいくらあっても足りません。
また時間を見つけて御紹介致しますね。
この美術史美術館に見られる主な作品はティツィアーノ、ティントレット、ヴェロネーゼ、ジョルジョーネ、ジョバンニ・ベリーニといったヴェネツィア派の巨匠達、
パルミジャニーノ、パルマ・ヴェッキオ、ブロンツィーノ、カラヴァッチョ、ラファエロ、カナレット、ベラスケス、ムリーリョ、ブリューゲル、ルーベンス、ヴァン・ダイク、
メムリンク、レンブラント、フェルメール、ファン・エイク、ボッシュ、デューラー、
クラナッハ、ホルバイン、アルトドルファー・・・挙げるときりがない大変な顔ぶれです。
これだけ内容の濃い美術館は他にありません。
つまり、中途半端な作品がないのです。
あえて言えばフランス、イギリスものやルネッサンス全盛期は少ないですが、
絵画史の中での重要所を抑えています。
絵画が好きな方はまる一日いても足りません。
絵画に興味がない方も是非見て頂きたい美術館です。